池袋与太郎行進曲@池袋手刀(2017.9.29) | 安眠妨害水族館

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カラビンカのレコ発主催イベント「池袋与太郎行進曲」に行ってきました。

カラビンカ、emmuree、dieSのスリーマンという面子の濃さに、頭から見たかったのは山々だったのですが、悲しくも期末。

業務を終えて池袋に辿り着いたのは、トリのカラビンカがはじまる直前の21時頃というね。

プレミアムフライデーがもっと定着してくれ、日本!

 

そんなわけで、実質的にカラビンカのワンマンを見に行った形。

1曲目から、この日配布された「思春期」を放ち、淀んだ嫌悪感で包み込みます。

嫌だ、と思いながらも見てしまう、聴いてしまうというカラビンカの真骨頂。

当然ながら聴く人を選ぶものの、この表現を成立させてしまうから彼らは魅力的なのだ。

 

そして、そこからはイベントを意識した攻撃的なセットリストに。

インストを挟んで空気を作り変えると、「六月の通り雨」、「通り魔行進曲」というキラーチューンのコンボ。

おぞましさは変わらず、なのだけれど、性急なリズムと歌謡曲的なメロディはノリやすく、はっきりと盛り上げる意図を感じる構成でしたね。

「六月の通り雨」、現体制でははじめて聴いたのだけれど、アドリブも含めてマニアックに進化していた気がするな。

このブロックでは、工藤さんが珍しく"頭ちょうだい!"と煽っていたのが印象的。

dieSのVo.荒瀬さんのパフォーマンスを意識してではあるのでしょうが、こういうのが飛び出すのもイベントの面白さなわけで。

 

この日は、レコ発。

続いて演奏されたのは、リリースされたシングルの表題曲である「春を哭く人」でした。

格好良く決めたいところで、トラブルが発生して台無しになるあたりは、カラビンカらしいというか、工藤さんらしいというか。

もっとも、いざ演奏に入ったらとてもシリアスで、儚くも美しい楽曲をエモーショナルに歌い叫ぶ。

他の楽曲にも言えることですが、この日の工藤さんは、いつも以上に感情最優先。

音源通りに歌うという美徳ももちろんあるのだけれど、彼の場合、音源とはまったく違うものをライブで作り上げようとしていて、そこにグッとくるのだ。

 

中盤戦からは、ディープなカラビンカ。

"T-BOLANのコピーバンドからはじまった3人"がこの日の設定だったようだけれど、演奏されるのは密室系/地下室系の色を濃く含んだアングラナンバーの連続という。

Ba.松島さんが作曲した「赤い花」の完成度が日増しに高まってきている事実が象徴する通り、松島さん、悠介さんのコンビネーションがカラビンカとしてハマってきた感がありますね。

 

最後にやってくれたな、というのは、「天井裏発電機」。

曲数もこなして、定番曲である「春を逝く人」への曲フリが入ったところで、これがラストか、と思い込んでしまったのですが、その後に控えるこの楽曲の何とも言えないドロドロした感情。

照明演出も凝っていて、途中で完全に真っ暗になり、音だけが聴こえるという演出が最高でした。

嫌悪感ではじまり、嫌悪感で終わる。
演奏中に幕が下りていくラストも、後味の悪い映画のエンドロールのようで良かったのでは。

アンコールは、「雨ニモ負ケズ」。
今回も、"トーキョーディスニーランド"Tシャツでの登場でした。
曲調としては異色ではあるのだけれど、込められる感情のベクトルが違うだけで、工藤さんの歌のスタンスは変わっていないのだな、と改めて認識。
オーディエンスにも受け入れられているし、これも代表曲のひとつになっていくのだろうな。

客席にいたレーザービームのメンバーが盛り上がり出し、この辺りから身内ノリ感も出てきたのだけれど、工藤さんのキャラクターや池袋手刀のノリが良い方向に働いて、オーディエンスが呼応。

"おかわり"の大合唱がはじまり、おそらく予定しなかったと思われるセカンドアンコールへ。

久しぶりに聴く「畜生の理」でのヒートアップは、ライブの醍醐味に立ち会っている感が半端じゃなかったです。

この盛り上がりこそ、この日のイベントの成果だったのではないかと。

諦めずに行って良かった。

期末の打ち上げに巻き込まれなくて良かった。

 

1. 思春期

2. inst

3. 六月の通り雨

4. 通り魔行進曲

5. 春を哭く人

6. 寄生虫

7. 勿忘草

8. 赤い花

9. 春を逝く人

10. 天井裏発電機

 

en1. 雨ニモ負ケズ

en2. 畜生の理