Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~ / V.A | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~/V.A

 

1. 水色ガールフレンド / PELICAN FANCLUB

2. プラットホーム / 氣志團

3. メランコリック / 清春

4. エンジェルダスト / People In The Box

5. サイレントノイズ / 相川七瀬

6. みらいいろ / 緒方恵美

7. 梟 / a crowd of rebellion

8. 空白の日 / GOOD ON THE REEL

9. 3月5日。 / MUCC

10. ツメタイヒカリ / LM.C

11. Sink / R指定

12. アンドロメタモルフォーゼ / THE NOVEMBERS

13. ゼロ / Plastic Tree

 

メジャーデビュー20周年を"樹念"して制作された、Plastic Treeのトリビュート盤。

長い活動の中で、V系内外問わず様々なアーティストとも交流を深めてきた彼ららしい、ジャンルやキャリアの偏りが少ない人選になっているのではないでしょうか。

 

興味深かったのは、竜太朗節とは、こうも確固たるものだったのだ、ということ。

合計12ものアーティストが、自らの個性をぶつけながらカヴァーしているわけなのだけれど、それでも、これは"Plastic Treeの楽曲だな"というのがよくわかるのですよ。

既に知っている曲だから、というツッコミも入りそうだが、仮にはじめて聴く曲があったとしても、そう思うだろうなと。

音楽性の変化は少なからずあったが、本質の部分というのは、20年間ブレなかった。

それが証明された瞬間でした。

 

そんな強烈な個性に抗うかのごとく、参加アーティスト側も、しっかり自らの解釈を乗せているから、更に面白い。

People In The Boxの「エンジェルダスト」は、オリジナルの浮遊感を、異国的、牧歌的なアレンジワークにより増幅させていたし、a crowd of rebellionの「梟」はソリッドさを突き詰めて、シャウトと絡ませた攻撃的なアプローチで勝負。

THE NOVEMBERSの「アンドロメタモルフォーゼ」については、空間を意識させる壮大な世界観を持っていて、ため息が出るほどの耽美さを演出しています。

 

氣志團の「プラットホーム」や清春さんの「メランコリック」については、比較的原曲に忠実なリメイクとなっているが、前者は、付け焼刃ではない彼らの音楽性への理解が見受けられ、他ジャンルのアーティストがそれをやることでリスペクト精神が際立つし、後者の、真っ向からぶつかっても自分の個性が上回ると言わんばかりのカリスマ性はさすがの一言ですね。

V系勢も大いに健闘しており、トリビュートの鬼・MUCCは、壊すところと守るところの絶妙なバランスを見せる「3月5日。」を披露。

テンポアップしてカラフルな色味を混ぜたLM.Cの「ツメタイヒカリ」、感情が徐々に高まっていく様子をスピード感で表現したR指定の「Sink」も、聴く前からハマるとは思っていたものの、予想を超える仕上がりでした。

 

ボーナストラックとして、本人による「ゼロ」のセルフカヴァーも、粋な演出。

レア音源の再録という付加価値もあるのだろうが、10周年公演にて配布された楽曲を、もう10年経ったところで改めて世に出すというところに、それ以上の意味があるというか。

これが入ることにより、20年の集大成というよりも、次の10年に向かってのスタートという気持ちにさせてくれました。

トリビュート盤のあるべき姿。
原曲へのリスペクトが強すぎて、冒険心に欠けるわけでもなし。
我が強すぎて、原曲のおいしいところを削いでしまうわけでもなし。

まるで、Plastic Treeと、参加アーティストの相思相愛的な関係性が伺えるようです。

カヴァー系の企画アルバムが増えてきた昨今ですが、これ以上のクオリティの作品は、そうそうお目にかかれないのでは。