Synthetic Brain / Lucide | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Synthetic Brain/Lucide

 

1. Energy エナジー

2. Thrill

3. [SN-スノウ-OW]

4. Lesson

5. K-rash

6. 薔薇ノ吐息

 

ex-LaputaのBa.Kusubaさんを中心に結成されたLucide。

本作は、1997年にリリースされた唯一のCD作品です。

 

Vo.Tsurugiさん、Gt.Junさんは、後にSTELLA MARIAに加入。

Dr.Shojiさんは、Merry Go Round、Smellsとキャリアを積んでおり、90年代シーンを通ってきたリスナーなら興味をそそる面子といったところですね。

 

この時代の名古屋系の王道ではあるのだが、ダークで退廃的な世界観と、メロディアスなフレーズが特徴か。

特に、キャッチーな歌メロと、それを妖艶に歌いこなすTsurugiさんの歌唱力は、大きな武器。

「Energy エナジー」、「Thrill」と、初っ端から見せ場が多く、ポテンシャルの高さを示していました。

 

演奏も安定しており、その辺のバンドであれば捨て曲になってしまってもおかしくない[SN-スノウ-OW]のようなミディアムナンバーも、しっかりと聴かせ、キラーチューンへと昇華させている。

そして、集大成的な「薔薇ノ吐息」のど真ん中っぷり。

これを嫌いな人はいないでしょ、という仕上がりで、さすが、押さえるところは押さえています。

 

実験的なのは、「Lesson」。

SEなのか、インストなのか、語りなのか、いまいち判然としないアレンジなのだけれど、何故だか聴いてしまうのだ。

[SN-スノウ-OW]までの流れを一旦断ち切り、極端に激しく攻め立てる「K-rash」へ繋ぐ前フリとしても効いているのがポイント。

あるとないとでは、まったくアルバムとしての完成度が変わっていたのでは、と思えるぐらいですよ。

 

短命だったこともあってか、メジャー流通でのリリースだったわりには、やや地味な存在。

Lucideといったらこれ!というインパクトを残すには要らなかったのも事実でしょう。

しかしながら、耳にしてみれば、さほど色褪せていないから驚かされる。

移り変わりの激しいシーンにおいて、20年も前に、こんなにも普遍的なダークサウンドを作り上げていたなんて、そろそろ再評価してもよさそうな1枚。