FIREFLY / Initial' L | 安眠妨害水族館

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FIREFLY/Initial' L

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1. FIREFLY

 

 

2. LAST FIGHT

3. Your Song

4. Fly of Angels (Bonus Track)

5. Stop my heart

6. HIVE

7. Light My Fire

8. Night and Day

 

2015年に解散したLycaonのメンバーが、自分たちのやりたい音楽とスタイルを改めて表現するために再集結。

 

本作は、Initial' Lとしては初となるミニアルバムです。

 

音楽性としては、エレクトロの要素を強めたダンスロック。

 

ボーナストラックとして中間地点に挿入されたショートナンバー「Fly of Angels」が象徴するとおり、踊れる歌モノに特化していました。

頭を振りたくなるようなハードチューンや、退廃的な雰囲気モノはここでは排除されており、とても垢抜けた印象ですね。

 

バンド名を変えての路線変更に、もしかしたらネガティブな感情を持つ人もいるのかもしれない。

 

実際、官能的な音楽性を武器に、こってりと濃厚な世界観を纏っていたLycaonに比べて、このInitial' Lは随分とスタイリッシュ。

脱ヴィジュアル志向を感じ取ってしまっても、仕方がないことなのでしょう。

 

ただし、脱ヴィジュアル系に含まれるニュアンスである、大衆化、一般化、無個性化…

 

この作品には、そのような守りの要素はまったく見受けられない。

純粋にやりたいことを突き詰めた結果、ヴィジュアルイメージ込みでこの表現に行き着いただけなのだな、と。

 

リードトラックである「FIREFLY」は、疾走感のあるリズムとキャッチーなメロディに王道感を感じるし、「LAST FIGHT」はズシっとヘヴィーなバンドサウンドが効いている。

歌謡曲的なメロディが印象的な「HIVE」にしても、ほんのりLycaon時代の妖艶な匂いを感じさせる「Night and Day」にしても、彼らがV系シーンで育ってきたV系バンドであることは明白です。

ただ、Lycaonとはアプローチが異なるだけ。

 

特に悠希さんのハイトーンボイスには、エロティックな妖艶さの代わりにエモーショナルな精神が宿り、歌詞に込めたメッセージを伝えるための表現にステータスを振り分けているかのよう。

 

上っ面だけを見て、この音楽に触れずに切り捨ててしまうのは愚の骨頂でしかありませんよ。

 

メンバー5人が小説家だとして、"Lycaon"という物語が完結したから、続く連載小説"Initial' L"がはじまったと捉えると面白いのでは。

 

そりゃ、違う物語なのだから、テーマもアートイメージも違ってくる。

だけど、同じ作家なのだから、本質は変わらない。

今後、新しいストーリーはどんな展開を見せていくのか、まだまだ続いていくであろう5人の挑戦に、とても期待が高まります。