sleep/nüe
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sleep
2,700円
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1. 茜空
2. 禁じられた遊び
3. 憂鬱な悪魔
4. M.A.D
5. 同じ月を見ている
6. sleep
"君が眠りにつく その時まで"
2016年にリリースされたnüeの3枚目となるミニアルバムです。
これまで見せてきた彼らの音楽性を、より多角的に示してきたな、といったところ。
聴かせるサウンドであることは一貫しているのだけれど、そのアプローチは一辺倒ではありません。
守るべきところ、壊すべきところを、よく理解しているな、と。
リードトラック的な位置づけで送り込まれる「茜空」は、ライブでの定番曲。
ドラマティックでエモーショナル。
ファルセットで弱々しく歌ったり、声を張り上げて情熱的に叫んだり、同じフレーズでも場面ごとに聞こえ方が変わって、ラストに持ってきても映えるだろうという盛り上がりを見せていきます。
その次の「禁じられた遊び」は独特の気怠さを纏ったダウナーチューン。
まったく異なるベクトルの2曲が続くのに、どちらも彼ららしいから面白いもので。
その後も、両方のおいしいところを探る「憂鬱な悪魔」、激しさに特化した「M.A.D」と、極端に振ってから足りないところを埋めていく構成になっていて、役割分担がはっきりしている作品ですね。
だからか、無駄が少なく、流れが良い。
終盤に持ってきた「同じ月を見ている」は、再びドラマティックに盛り上げるバラード。
静けさのあるスタートから、バンドサウンドで力強く演奏される終盤まで、徐々に気持ちが昂る展開となっているので、これはライブで聴いたら鳥肌が立ちそうだ。
表題曲の「sleep」は、美しいイントロと、ポップなメロディで意外性を与えつつ、シンプルながらも出るところ、引くところのバランス感覚に長けたアレンジワークにより、nüeの世界観に落とし込んだ新境地。
純粋に、上手いな、と思わせてくれました。
音程的に安定感があるボーカルではないので、好き嫌いは分かれるのでしょうが、そこに込められた感情の波に、気を抜けば飲み込まれてしまう。
そんなパワーを感じるのですよ。
演奏陣も技術は確かで、特にGt.稲さんの奏でるフレーズが、いちいちツボを突く。
まだまだ玄人好みという音楽性ではあるのだけれど、一発で掴むキャッチーさや、インパクトも、今後飛び出してきそうな片鱗は見せ始めているのでは。
さすがベテラン!渋い!で終わらせるにはもったいないバンドだなと、改めて感じた1枚です。
<過去のnüeに関するレビュー>