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1.サイレン
2.セルフネグレクト
3.樹海
1stミニアルバム「鵺」を完売させたnüe。
注目が集まる中、1stシングルが送り込まれました。
どっぷり世界観重視。
感情的で神経質なボーカルが、ダークながらも繊細なタッチで奏でられるサウンドに映える。
そんな音楽性であるだけに、シングルとしてどういう楽曲を切ってくるのかが想像できなかったのですが、なるほど、こういう路線だったか。
「サイレン」は、切なさを駆り立てるようにシンセを散りばめた疾走ロック。
サウンドだけを切り取れば、爽やかさすら感じさせるほど。
確かに、感情をダイレクトにぶつけるアプローチもハマるのだよな。
センチメンタルな心を掻き毟られる。
"鬱くしき日々 胸を鬱"というダブルミーニング的なフレーズもポイントでしょう。
歌詞カードに目を通すかどうかで、描かれている世界の見え方も変わってくる。
一曲で二度おいしい楽曲です。
一転して、「セルフネグレクト」は、ダウナーで退廃的に。
ひたすら暗く、重く、閉塞感のある楽曲で、ここまでの２曲だけで、nüeというバンドの奥深さを理解できる。
表面だけで捉えれば、明らかにギャップがある並びなのだけれど、違和感なくこの楽曲の世界観に取り込まれてしまうのですよ。
この辺りに、彼らのポテンシャルの高さを見る。
全体的にはじっとり汗ばむような湿度を纏いながら、ラストシーンではバンドサウンドが強まっていくところがツボでした。
ラストの「樹海」は、世界観重視のミディアムナンバー。
「鵺」の空気感を色濃く出している楽曲であり、作品を丁寧に総括していますね。
キラーチューンにはなりえなくとも、こういう楽曲が入ることで引き締まるというか。
ライブで聴いたら違った表情も見せてくれそうなので、まだまだ可能性を秘めているということかもしれません。
個性を両極端に振り分け、シングルとしてのインパクトを出すように工夫された一枚。
ともすれば、バラバラな楽曲の詰め合わせになってしまいそうな部分でもあるのだけれど、絶妙なバランス感覚でまとめあげているセンスも侮れません。
玄人好みなバンドになりそうな音楽性なだけに、一発目のシングルで個性を示すことができたのは大きいのでは。
まだまだアイディアは持っていそうな気配。
本作を聴いて、ますます彼らへの期待が高まりました。
＜過去のnüeに関するレビュー＞
鵺