Libra / FIXER | 安眠妨害水族館

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Libra / FIXER

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1. fricción

2. アスタリスク

3. 空蝉

4. 蜉蝣の夢

5. アザレア

6. hollow

7. ignited

 

2016年9月から新体制となったFIXER。

本作は、現体制では初となるアルバム作品です。

 

"終焉と新章の始まり"をテーマに、新生FIXERの新機軸を打ち出すミニアルバム。

実際、メインコンポーザーの一人であったGt.Yuhmaさんの楽曲が収録されておらず、新加入となったBa.70.さんがリードトラックをコンポーズしているなど、意識的に新たな方向性を探っている印象ですね。

 

特に強調されているのは、メロディの部分。

従来のハードさ、ヘヴィさは維持しつつ、美しく繊細なメロディも強みのひとつとして前に出そうとする試みが見られます。

MVが制作された「アスタリスク」は、それを象徴している1曲。

FIXERらしく、重低音を響かせて攻め込むのだけれど、メロディを立たせるように、ある種の"引き算"的なアプローチに挑戦しているといったところでしょうか。

 

また、「アザレア」のインパクトも大きかった。

ストレートでキャッチーなメロディアスチューン。

重低音はしっかり響いているのだけれど、同じぐらいに疾走感が意識されており、どこか軽快さも感じられます。

切なさが炸裂するメロディと、歌うようなギターのフレーズ。

言ってしまえばベタな王道ナンバーなのだけれど、彼らがこれをやるという意外性が、存在価値を高めていました。

 

気になってしまったのは、ミックスのバランス。

せっかくメロディを押し出しているのに、ボーカルがやたらと引っ込んでしまっているような。

声も楽器のひとつとして割り切っているならともかく、このアレンジであれば、もっと歌をくっきりと聴かせてほしかったのが本音です。

エンジニアリングはセルフで行っているようだけれど、意図的な演出なのかなぁ。

 

1stフルアルバムを完売させ、注目度が高まったタイミングでの新機軸。

移り変わりの激しい音楽シーン、長い目で見てみないとわからないが、ちょっと切り替えが早すぎやしないか、と思わないでもない。

もっとも、その1stは、1曲追加で2nd Press盤がリリース予定。
そちらと併せて聴かせる前提で、あえて別の路線に外してきたのであれば、なかなかの策士である。
ポテンシャルの高さは間違いなさそうなので、音質面での向上に期待したいところですな。