風/CARESS
風
2,160円
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1. 始まりの風
2. Cry Your Name
3. Caward
4. 路
5. カタルシス
6. DAY DREAM~24時間の揺りカゴの中で~
北海道にも同名のバンドが存在していたため、大阪CARESSやCARESS(大阪)などと表現されることも多かったCARESS。
本作は、2001年にリリースされたミニアルバムです。
90年代後半から発生した、関西発のソフトヴィジュアル系ブーム。
wyseやLAID、Waiveといったメジャーを狙う規模のバンドに比べたら全国的な知名度は劣りますが、彼らも、そのムーブメントを引っ張ったバンドのひとつでしょう。
Vo.TAIKOUさんのハイトーンボイスを活かした透明感のあるサウンドを展開。
彼らの活動において唯一のミニアルバムとなるこの「風」は、自分たちの武器を熟知しているというのがよくわかる作品でした。
硬派なロックンロールに偏りすぎず、アイドルバンド的な要素も強すぎずのポップセンスは絶妙で、サポートにキーボーディストを迎えて楽曲に奥行きを与える。
ハードなサウンドに個性を求めるバンドが多い中、疾走感のあるナンバーは「Caward」ぐらいに留め、王道も邪道も全部詰め込んだようなバラエティ性を求めていますね。
ポップなメロディを押し出してキャッチーに仕立てた「始まりの風」でスタートすると、いきなりバラードである「Cry Your Name」に突入。
正統派のビートロックで切なく駆け抜ける「Caward」、渋さを出しつつ、やはりメロディが立っている「路」、エフェクトをかけてジャジーな雰囲気モノとして割り切った「カタルシス」と、その後も手を変え品を変え。
最後は、再びキャッチーな「DAY DREAM~24時間の揺りカゴの中で~」に帰ってきます。
ともすればバラバラになってしまいそうな構成なのですが、そこに一本線を引いているのが、水田雅也さんによるギター。
楽曲に合わせてアプローチは変えつつも、歌心があるというか、いずれも耳に残るフレーズを持ってきてくれるので、彼のものだとすぐわかる。
キーボードとの相性も良く、上モノ同士でぶつかり合うこともありません。
このセンスが色濃く出ている限り、どこまで引き出しを広げたとしても、借り物ではなくCARESSらしい楽曲だと認識できたことだろう、と。
サウンドも歌詞も情報量を詰め込みがちな現代のJ-ROCKにおいて、ミディアムテンポで、伸びのあるポップなメロディを響かせるこの手のバンドは、V系内外問わず、あまり見かけなくなった気がします。
そういう意味では、新鮮に映るかもしれないし、古臭く映るのかもしれない。
いずれにしても、8月には15年ぶりの1日復活も決定しており、反響が楽しみ。
関西ソフビ系が好きだった層には、こんなノスタルジアもたまにはアリなのでは。