Kαinのボーカリスト、YUKIYAさんによるソロワークス、藤田幸也エレクトリック!のワンマンに行ってきました。
5月1日、2日とKαinでの赤坂BLITZ、2Daysワンマンを終えて、間髪入れずの単独公演。
打ち上げ的な内容になるのかと思いきや、距離が近い分、熱量を求めていた印象でしたね。
Kαinのほうでのライブには行けなかったのですが、大きい会場での公演を成功させたアーティストを、翌日に至近距離で見ることができるというのも、なんだかスペシャル感を増しています。
この日の編成は、Vo.YUKIYA、Gt.aie、Ba.kazu、Dr.ATSUSHI、Pf.Yoshiokaという信頼感抜群のメンバーたち。
ソロワークスではあるものの、エレクトリック!は、バンドアレンジを前提に過去の楽曲を演奏するというコンセプトなので、昔からの楽曲ファンにとってはセットリストも含めて楽しみが広がります。
内容は、JILS時代のナンバーを中心に、D≒SIREの楽曲やKαinのレア曲も詰め込んで、といったところ。
そんな中、1曲目に椎名林檎さんの「ギブス」のカヴァーを持ってくるあたりが憎い演出なのですが、このメンバーで演奏されるとオリジナルかと思えてしまうほどに世界観がハマるから面白いですな。
そして、続く「xxxBLUE」は個人的に大好きな1曲。
これがここに来た段階で、もうチケット代のもとはとった!という気分なのですが、もう1曲D≒SIREからの選曲が「CALL FOR...YOU」とは。
全体的には定番曲が多いとはいえ、こういったところで痒いところに手が届く感覚。
アレンジにも多く新解釈が加えられていて、単純に"古い曲"ではないというのも抜け目ないです。
また、「tonight,tonight」にしても、「LOVER'S NAME」にしても、最近のセットリスト的には目新しさがあるわけではないラインナップも、1回ごとに形が変わるのがYUKIYAさんのライブ。
この日は特にオーディエンスとの距離が近いということと、3Daysの最終日ということで疲労がピークに達しているということが、まさに命を燃やして歌っているような迫力に繋がっていたのでは。
ただでさえ、歌に感情を込めて歌わせたら、右に出るボーカリストはいないわけで。
そのYUKIYAさんに、あそこまで鬼気迫るほどに絶唱されたら、オーディエンスとしてはひとたまりもない。
これに巻き込まれた会場全体の空気が、MCでの、"求められるなら、男限定ライブを熱い時期に…"という発言にも繋がっているのかなぁ、と考えます。
最後の「SWEET HURT(Z)」は、シングルとしてリリースしたとき、あまり評価が伸びなかったことに、"ファンの感性が追い付いていない"と考えていたとのこと。
実際のところ、僕もリリース当初は流してしまっていて、あまり聴き返していなかった音源。
ただし、大人になって、楽曲のポテンシャルを表現しきれていなかったと気付いたとコメントしてから演奏された同曲は、これが本当にあの曲かと思ってしまうほどに格好良かったです。
これで出てシングルとしてセールスが伸びるかというと、また違う話なのかとは思われますが、少なくとも僕にはグッときた。
心に刺さった。
序盤のノリの大人しさに、"もっと狂ってほしい"と要求していたYUKIYAさんですが、いやいや、あまりの迫力や表現力、説得力に、立ち尽くすしかなかったのですよ、この刺激に慣れていない身としては。
「PassAGE」は、Kαinの求めていた世界観とは異なるため、あまり演奏することがなかった楽曲のようで。
これは、一朗さんが在籍中に作ってきたナンバーで、何度ボツにしても、一朗さんが食い下がってきたから根負けしたとのエピソードも。
それでも演奏した回数は少なくて、ATSUSHIさんは覚えていなかったようですが。
MCとしては、このタイミングでKαinの経費事情に触れたところが面白かったですね。
その流れから、"SHIGEは顔は貴族みたいかもしれないが、中身はジャイアンだぞ! 歌の上手いジャイアンだぞ!"と、欠席裁判が開始されるSHIGEさん。
今度、アコースティックでのツーマンツアーも行われるようで、なんだかんだ仲は悪くないのだろうな、というのが伝わってきました。
ラストは、「Innocent Cry」で大団円。
差し伸べられたオーディエンスの手を、嬉しそうに握り返すYUKIYAさんが印象的でした。
藤田幸也エレクトリック!は、YUKIYAさんの引退まで続けるということですが、実際のところ、近年は入院もしてしまい、この3日のために体調管理を厳格にやってきた状態で、不安にさせるつもりはないとのことですが、事実としてリミットはあるのでしょう。
しかしながら、それを理解して歌うYUKIYAさんは、やはりカリスマなのだと。
不安定な状況にあっても、変わらないものを力強く叫ぶ姿には、人気絶頂だった頃よりも、むしろ求心力があった気がします。
メルマガ会員限定ライブ。
自分のようなライト層が行ってもいいものか、と最後まで躊躇していたけれど、思い切って足を運んで良かった。
30代の男性ファンでもライブ会場で浮かないっていうのも、ヴィジュアル系アーティストのライブとしてはありがたい限り。
これはリピーターが増えるわ、と実感した単独公演でした。
1. ギブス (椎名林檎)
2. xxxBLUE
3. BIRTHDAY
4. tonight,tonight
5. あいのうた
6. CALL FOR...YOU
7. 哀傷
8. あふれそうな涙
9. LOVER'S NAME
10. Sin~約束の日、絶望の花咲く丘で~
11. Missing Moon
12. TRUTH -真実の詩-
13. SWEET HURT(Z)
en1. PassAGE
en2. Innocent Cry