粘着型クレイジーソルト入りクッキー / ラッコ | 安眠妨害水族館

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粘着型クレイジーソルト入りクッキー【通常盤】/ラッコ

¥1,620
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1. 幸甚に存じます
2. Camaro69’
3. 滅亡のブルース

ラッコの2ヵ月連続リリースシングル、第二弾。
第一弾がバレンタインを意識したタイトルだったのに対し、こちらはホワイトデーを連想させるものになっています。

本作のテーマは"生き急ぐ"とのこと。
これまでの"眼鏡"や"虫"と比較して、やや抽象的でしょうか。
このテーマを耳にしたとき、性急なリズムで疾走する音楽性をイメージしたのですが、実際にCDを聴いてみて驚いた。
歌モノのみで構成されていて、リードトラックとなる「滅亡のブルース」は、むしろ遅いぐらい。
良い意味で裏切られたな、と。

初回限定盤と通常盤で、1曲目が異なるという仕様は珍しいような。
通常盤に収録された「幸甚に存じます」は、2分半程度のショートチューン。
ツインギターが絡み合ってからのVo.てんてんさんのシャウトでスタートするイントロから、既に格好良い。
テンションを抑え気味に歌っている印象なのですが、それが慇懃無礼を狙った歌詞とハマっています。
実は感情もしっかり込められていて、メッセージ性が強い楽曲に仕上がったのでは。

「Camaro69’」は、ダンサブルなミディアムナンバー。
同期も入ってきますが、テクニカルなフレーズを織り込むギターが絶妙。
こちらも淡々としているようで、裏に隠れている熱量を感じ取れました。
"てんてん節"にも、バリエーションが出てきたものだなぁ、と奥深さに感心。

ラストに収録されたリードトラックは、「滅亡のブルース」。
しんみりとしたロッカバラードとなっています。
"生き急ぐ"シングルで、この天邪鬼っぷり。
サビのメロディが好みですね。
退廃的になりすぎず、キャッチー性を残しているので、耳に入ってきたときに心地良さがあります。

「虫入りチョコレート」が激しさに特化した作品であったならわかるものの、ここまで歌モノに絞ってくるとは予想外ですよ。
勢いを出していきたいタイミングで、これを切ってくるという潔さが彼ららしい。
作品としての完成度にこだわっただけありました。

ライブ映えだけが価値じゃない、という現代シーンに対するラッコなりの反抗心。
あえてセオリーを無視した力作と言えるでしょう。

<過去のラッコに関するレビュー>
虫入りチョコレート
怪しい眼鏡屋さん