Loyalty. EP / DALLE | 安眠妨害水族館

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Loyalty. EP/DALLE


1. Loyalty
2. last silence to lost landscape

ライブ会場と通信販売での限定販売となるDALLEの4thシングル。
本作も、DVD付きとCDのみ、それぞれのバージョンが存在します。

「Loyalty」は、彼らの音楽性を端的に示す内容となっているのではないかと。
ダンスミュージックの要素を、ゴシックなサウンドの中に落とし込み、現在進行形のニューウェイブを作り上げる。
DALLEの目指す音楽とは、きっとこういうものなのでしょう。
マニアックではあるのだけれど、すんなりと耳に入ってくるのですよ。

ボーカルパートにはメリハリがあって、グロウル中心の激しい部分と、透明感のある歌声で壮大に広げていくメロディアスな部分に分けられます。
聴き始めと、聴き終わりで、楽曲のイメージがガラっと変わってしまうのは、この歌唱の使い分けによるもの。
具体的なストーリーが提示されているわけでもないのにドラマを感じることができ、聴けば聴くほどのめり込みそう。

ギターやベースは、なんとなく遠くで演奏されているような感覚を受けますかね。
音が小さいとか、バランスが悪いとか、そういうことではなく、精神的に距離を感じるというか、リスナーとの間にあえて壁を作っているような。
音を何層にも重ねて、本音や人間味をあえて隠すことで、解釈の余地を与えているのかもしれません。
この、あくまで情報を発信するだけ、というスタンスこそ、彼らの格好良さ。
ステージの上と下との距離感が近づいた現代において、この突き放されたサウンドが興味深く映りますね。

「last silence to lost landscape」はインストナンバー。
機械的なデジタル音が連なっているのですが、徐々に様々な音が加わっていき、無機質だったサウンドが、有機的に広がっていく面白さ。
途中で足並みが揃わなくなったり、やっぱり最後はひとつに重なったり。
そういう構成も狙っているのだろうなぁ。
無機質なサウンドで物語性を表現する斬新さがありました。

4作目になり、DALLEの王道パターンが出来上がりつつある頃。
その集大成となるのか、原点となるのか、"最新型のゴシックパンクバンド"を象徴する楽曲が飛び出した。
アルバムの発表も控え、ここからどんな進化を遂げようとしているのかがとても楽しみ。
はやく全貌を見てみたいものです。

<過去のDALLEに関するレビュー>
witch craft pictures. EP
Asphalt. EP
FENCES EP