ロベリア / MALISEND | 安眠妨害水族館

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ロベリア/MALISEND


1. ロベリア
2. GARDEN

"精神の解放"をテーマに掲げて活動しているMALISENDの1stデモシングル。
本格始動と同タイミングでリリースされました。

新人バンドながら、古き良きコテコテ系の系譜。
黒を基調としたエナメル衣装、メンバーそれぞれ色が異なる派手髪というヴィジュアル面もさることながら、ダークな世界観、ハードな演奏、サビでは疾走してメロディアスに・・・という基本に忠実な楽曲たちを現代ナイズして再構築していますね。
この辺りは、DIAURA、MEJIBRAYなどが踏み固めて、現代のジャンルにまで昇華させた音楽性。
それ自体に新鮮さはありませんが、粗削りでも初期衝動があれば戦える側面もあるので、この手のバンドを好む層であれば、早めにチェックしておきたいところでしょうか。

「ロベリア」は、神秘的なシンセにバンドサウンドが重なる形でスタート。
序盤の歌メロは地を這うように低音を響かせており、スリリングなイントロとのギャップを持たせていきます。
こうやってタメを作ったうえでシャウトの掛け合いもあるBメロにバトンを渡し、高揚感を強調。
更には、そのBメロが徐々にメロディアス性を帯び始め、サビではVo.悠樹さんのハイトーンを活かす美しい旋律へ流れていくという澱みない構成になっている。
サビから逆算していると思えるほど、ひとつ先のパートを引き立たせるように楽曲が組み立てられているので、とてもドラマティックに聴こえるのですよ。

また、カップリングとなる「GARDEN」は、逆のアプローチ。
大サビではじまってメロディアスな楽曲を連想させたうえで、徐々に重苦しく、激しくなっていくというブラフとなっている。
カップリングでハード重視というのもセオリー通りなのだが、一度意識を逸らせてから戻ってくることで、ありきたりに見せない工夫となっているのは面白いです。
おそらく、狙ってやってはいないのだと思うものの、シャウトでまくしたてるパート、テンポを落ち着けてシリアスに歌い上げるパート、導入とラストに待っている疾走メロディアスパートと、贅沢にインパクトのあるメロディを注ぎ込んできたからこそ。

歌唱力や表現力については、まだまだ物足りなさがある。
しかしながら、楽曲の方向性的に、"演奏が上手い≠世界観がある"なのですよ。
少し改善の余地があるくらいがビビっとくる、というリスナーが数多くいるのも事実。
その点でも、古き良きコテコテバンドを踏襲した味わいですな。

ちなみに、MVが収録されたDVD付き。
実績があるわけでもない始動直後のバンドが、そこそこのクオリティのMVが制作できるというのも、時代なのだよなぁ。
昔ながらのところは昔ながらに。
現代的な部分は現代的に。
絶妙な匙加減が戦略に織り込まれているのは間違いなく、今後の飛躍に期待できそうなバンドがまたひとつ登場したと言えるでしょう。