参ニ混ジワル十戒~片目ノ少女ニ叙情ドラッグ / 雀羅 | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

参ニ混ジワル十戒~片目ノ少女ニ叙情ドラッグ/雀羅

¥1,132
Amazon.co.jp

1. 片目ノ少女
2. 叙情ドラッグ

2001年に発表された雀羅の4thシングル。
10,000枚限定でのリリースでした。

UNDEADのVo.明透遊、Blu-BiLLioNのDr.Seika、VersaillesのBa.Jasmine Youなどが在籍していたことでも知られる彼ら。
本作は、三部作となる「参ニ混ジワル十戒」シリーズの第二弾。
3ヵ月連続でリリースされ、それぞれ、10月10日、11月11日、12月12日を発売日とするこだわりが、当時の"何か面白いことを"という気質が強かったインディーズシーンを象徴していますね。

「片目ノ少女」は、疾走感のある王道のV-ROCKチューン。
バッキングとアルペジオというツインギターの絡み方が、まさしく90年代から引っ張ってきたようなベタベタっぷりなのですが、それが気持ち良いから問題なし。
和風コンセプトを置いていたそれまでのイメージは薄まりますが、明透遊さんの細い声にもハマっていて、雀羅の新たな可能性を示していました。

「叙情ドラッグ」は、シングル的な「片目ノ少女」の反動からか、マニアックな雰囲気に。
作品タイトル的には、両A面ということなのでしょうが、素直に聴けば、こちらはカップリングという位置づけのほうがしっくりくるかと。
ミディアムテンポなのだけれど、癖のあるリズムとボーカルラインにより、ストレートな歌モノとは言えない一筋縄ではいかない構成に。
和メロが活きたメロディアスなパートと、ハネたリズムのノリ重視のパートが、聴き方によって位置づけが変わって見えるところも面白い。
前者がサビにもなるし、後者がサビとも捉えられるのですよ。

ハードで王道的な側面を見せる「片目ノ少女」と、ダークで複雑性のあるこだわりを見せる「叙情ドラッグ」。
それぞれはっきりした役割を持って存在していながらも、コンパクトに引き締まってインパクトもあるという意味で、三部作の中でもっとも作品としての完成度が高いのが本作なのだと思います。
結果的に、この編成でのオリジナル作品は、この三部作が最後になってしまうのが、惜しいというかなんというか。
良曲がコンスタントにリリースされるようになり、オリジナルアルバムのリリースなども期待していただけに、そんな時期でのボーカルチェンジは痛かったよなぁ。

なお、三部作をひとまとめにしたうえ、追加ディスクも付属する「参ニ混ジワル十戒BOX」も存在しますが、価格面でのお得感はなし。
中古で投げ売り価格で売られているシングルをひとつずつ集めるほうがコストを抑えられるでしょう。

<過去の雀羅に関するレビュー>
参ニ混ジワル十戒~蛇苺ノ感傷トリップ
呪縛ト不フ緋色ノ悪夢