Playear / ゾロ | 安眠妨害水族館

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Playear/ゾロ

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1. PINK
2. warp
3. ハラ■■show time(ボーナストラック)

惜しまれつつも5月に解散してしまったゾロ。
本作は、2009年にリリースされた2ndシングルです。

後期はZORO名義になり、Vo.龍寺、Ba.たつひによるユニット編成での活動になっていましたが、この頃はスタンダードな4人編成。
現在はKraで活躍中のGt.タイゾさんなどが在籍していました。

初期の作品は、実質的な前身バンドであるそろばんからの流れが色濃く出ていましたが、本作くらいから、ゾロとしての個性が見え始めたと思います。
バンドサウンドを喰うレベルでデジタルサウンドが強調され、だけどバンドサウンドもそれに負けじと主張する。
その独特なスタイルが、4人時代のゾロの強み。
後期の本格デジタル路線とは、また違った魅力であったと言えるでしょう。

リードトラックである「PINK」は、キャッチーなメロディが耳に残る。
楽曲構成はシンプルなポップロックなのだが、テクニカルなギターのフレーズと、情報量の多いデジタルサウンドが、どこか近未来的なイメージを与える不思議な感覚。
この楽曲では、龍寺さんのボーカルも比較的生声に近く、デジタルとアナログのせめぎ合いになっているのが面白いです。

「warp」は、逆にサウンドはバンドサウンドが立っているのに対して、龍寺さんのボーカルにエフェクトを強めにかけて、1曲目とは異なる響き方にしています。
やはりギターのフレーズが印象的で、同期に頼らなくても情報量を詰め込むことは可能なのだと言いたげ。
バンドサウンドでデジタルに近づけようとする試みが、とても興味深い。
ロック色が強まり、単体でもかなり格好良いアッパーチューンになっているので、これを聴くために本作を手にとっても損はないでしょうね。

通常盤にのみ収録されている「ハラ■■show time」は、ライブを意識したハードなナンバー。
デジタルとアナログの比率としては、1曲目、2曲目ほど極端ではなく、ある意味、もっとも正統派なバランス感覚で作られた楽曲と言えるだろう。
もっとも、メインディッシュ2曲が、コントラストを意識して制作されている感があるので、変に狙った1曲を持ってくるより、ライブの定番曲をおまけに持ってきた、くらいのラフさのほうがハマる。
その点で、このセレクトは間違いではありません。

結果的に地味な位置づけで、埋もれがちなシングル。
とはいえ、個人的にはゾロを聴いてみるきっかけとなったCDであり、思い入れがあるのだよな。
音楽性が固まる直前のターニングポイント的な1枚であり、振り返ってゾロを聴くのであれば、アルバムだけでなく、この辺のシングルも押さえておきたいところです。

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