DEFLOWER~懺悔の雨~ / THOGO | 安眠妨害水族館

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DEFLOWER~懺悔の雨~/THOGO

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1. DEFLOWER
2. Clock'work fairy
3. Somewhere
4. DEFLOWER(Instrumental)
5. Clock'work fairy(Instrumental)
6. Somewhere(Instrumental)

ex-美翔華、ex-DEFLOWERのTHOGOさんによる、ソロ作品。
音楽活動25周年を迎えて、ヴィジュアル系に立ち返るというコンセプトで制作されたシングルです。

新曲である、その名も「DEFLOWER」、DEFLOWER時代の楽曲「Clock'work fairy」、10代の頃に作ったという「Somewhere」の3曲を収録。
コンセプトを勘案すれば当然ではありますが、「Clock'work fairy」、「Somewhere」は、本作用にアレンジが施されたリニューアル版となっています。
ボカロPとして活動しているex-Ant1nettの氣リPさんが編曲等で参加しているのだけれど、どういう繋がりなのだろう。

新曲となる「DEFLOWER」は、地を這うような低音ボイスと、ノイジーな打ち込みサウンドが特徴的なナンバー。
序盤はゴス色が強く、サビで唐突にリズムチェンジするとメロディアスになっていく。
現在のTHOGOさんのV系脳をフル活用して作ったということなのだが、V系バブル期前後にシーンを卒業しているだけに、V系の解釈が現代と違っていて、それが面白な、と。

「Clock'work fairy」は、THOGOさんによるオリジナルバージョンは聴いたことがないのですが、声質のせいなのか、氣リPさんのアレンジの影響なのか、Noir fleurirで演奏されていたバージョンよりも、やはりゴシックかつノイジーな雰囲気になった気がします。
語りが入るところは、やっぱり90年代のV系ど真ん中。
歌録りを勢いでこなしたそうで、程よいラフさが味になっていますね。

「Somewhere」は、収録曲中、もっともポップさがあると言えるでしょうか。
ミディアムバラードという位置づけになるのかな。
歌詞には若さを感じますが、初期衝動溢れる楽曲だけに、メロディには力を感じられる。
これについては、打ち込み色が強いアレンジになったのが、少しもったいないかな。
シンプルなロック風の、粗さがあるくらいの音使いで聴いてみたいという意味で。

THOGOさんは、DEFLOWER脱退後はギタリストがメインの活動を行っていたため、歌唱力の向上を期待して聴いてはいけないのでしょう。
V系としての活動を終わらせるため、やり残しがないように自己満足を突き詰めたと自身が語る通り、昔の雰囲気で今のTHOGOさんが歌っている、ということそのものを楽しめるリスナーこそがターゲットなのである。
ある意味、歌唱力も含めて当時のままなのが、この作品の価値だったりするのでは。

ちなみに、付属のDVDが、何気にメインを喰っているインパクト。
「Clock'work fairy」、「Somewhere」のMVが収録されているのですが、あえてコテコテをやってみている「Clock'work fairy」、女性2人が当て振りをしている構成の「Somewhere」と、大真面目にやっているからこそ醸し出される面白さ。
それを狙ってやっているのかはわかりませんが、こういう空気も90年代なのだよなぁ。

KENZIさん、SEIJIさん、the CRAZY-SKBさんという、その筋の人には豪華なメンツでの対談もあって、ボリュームは満点。
本作にワクワクするコアなリスナー層であれば、楽曲だけでなく、こちらも併せて楽しみたいところです。