RE : START / Vollstrecker | 安眠妨害水族館

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RE : START/Vollstrecker


1. RE:START
2. insanity-現の旋律、幻想の調べ-
3. AngelPowder
4. 緊張感
5. -se-
6. to die for…

2013年にリリースされた、Vollstreckerの初音源。
以前mixiページにてレビューをしていたものの、あちらがほとんど機能していない状態になってしまったので、ブログにてRE:REVIEWしてみます。

正式始動に先駆けて、6曲入り500円というお得感のあるミニアルバムをリリース。
名前を売るには、なかなか攻めの戦略だったのですが、それが裏目に出てしまったと言える結末を迎えてしまうのですよ。

と、いうのも、同時に公開されていた「RE:START」のMVが、あまりに衝撃的だったから。
ボーカルのピッチの甘さや、メロディの弱さは兎も角として、ギターのチューニングがズレているような、革命的なフレーズの連発。
聴き苦しいを通り越して、凄い!ヤバい!ある意味でロックだ!と、大きな反響を呼んだ結果、メンバーがYouTube動画を削除するなど、知名度は上がったものの、それに乗っかるほどの割り切りが出来ず、すぐに活動休止になってしまいました。
(削除された動画は、バンド名とタイトルで検索すれば、アンオフィシャルではありますが見ることができます。)

改めて聴いてみると、やはり、「RE:START」のインパクトが群を抜いているかと。
どの楽曲にも危ういところはあるものの、あそこまで正々堂々とコード進行を無視したギターフレーズを奏でているわけではなく、そこまでギョッとする内容ではない。
ダークバンドなのに、「緊張感」なんてタイトルを付けてしまうセンスは評価が難しいところではあるが、自主制作のマイナーバンドなんて、こんなレベルでも珍しいとは言えないのだと思います。
それだけに、「RE:STAR」をリードトラックにしたのは、ある意味で正解だし、ある意味で不正解だったのだろうなぁ。

全体的に、世界観の作り込みはまだまだ。
歌詞は、普遍的なラブソングだったりして、"処刑人"というコンセプトからも、退廃的だったり荘厳だったりするSEのイメージからもギャップが激しく、音のギミックとしてはコテコテダークがやりたいのだけれど、明確なイメージを持たずに場当たり的に楽曲を作ってしまっているような印象を受けますね。
誰しも、はじめからオリジナルで突き進めるわけではないので、それがダメということではないのだが、変な形で注目を集めてしまって熟成させる時間がなかった。
ネタにしてしまって少し可哀そうなことをしたな、という後悔があるのも本音。
まぁ、あの内容ではネタとして拡散するわな、というのも本音。

なんだかんだ、生産枚数が少なかったこともあって、入手困難なCDに。
追加プレスを期待することもできず、歪な形ではあるがレア音源ということなのかもしれません。
ジャケットだけで購入して、地雷を踏んでしまった!という、90年代さながらのノスタルジックな体験を、2013年という時代に出来たというだけでも、個人的には買った価値はありましたけどね。

時間が経ったことで、"あの頃は笑えたけれど、今ではそんなことないな… それなりに格好良いな…"となるのを期待したけど、やっぱりダメな方向に面白かった。
2年経ってもネタとして陳腐化していないという点では、ある種、他の追随を許さない孤高の存在と言えるのでは。