Scream of Heartless / ハートレス | 安眠妨害水族館

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Scream of Heartless/ハートレス

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1. Scream of Heartless
2. Memory loss
3. Breaking the Wall

名古屋を拠点に活動していたハートレス。
本作は、2010年にリリースされた4thシングルです。

Vo.柊さんが、解散後にboogiemanに抜擢されることでも知られる彼ら。
本作は、2年間の活動の集大成として発表されたラストシングルとなりました。
タイトルに"Heartless"が含まれるところからも、気合いの入れ方を感じ取れるかと。

改めて聴くと、彼らは随分と現代風のサウンドを先取りしていたのだなぁ。
ラウドなサウンドにエモーショナルなボーカル。
クリーンパートとシャウトパートを使い分けて、激しさとメロディアスさを共存させるアプローチで攻めていく。
今でこそ、それを邦ロック風に洗練された楽曲を強みとするバンドも増えてきましたが、当時は、まだシーンに流入されたばかり。
2010年の段階で、名古屋のマイナーバンドがここに辿り着いていたというのは、なかなか興味深いところです。

強みは、なんといっても柊さんの歌声。
癖の少ないハスキーな声質は、硬派な楽曲の雰囲気にぴったりハマる。
表現としての荒々しさはあるものの、十分に安定していると評価できるレベルで、難しい楽曲も歌いこなしていますね。

激しさやスピード感を押し出すだけでなく、構成も工夫して緩急をつけた表題曲、「Scream of Heartless」は、4分程度の尺でここまでドラマ性を出せるのかと感心させられた。
強いメッセージ性と、タイトル通り叫ぶような歌唱。
ラストシングルとして切られても、誰も文句が言いようがない楽曲に仕上がったのではないでしょうか。

「Memory loss」は、ハードさを増したのかと思いきや、サビではテンポを落として開けた展開に。
ズシっと響くバンドサウンドにより重低音も効いているのだが、それと同時に光が差し込んでくるイメージがあり、不思議と幻想的にも思えたり。
最後に収録された「Breaking the Wall」は、メッセージ性重視だったりするのかな。
どこか壮大さのあるサビにて、一言一言を噛み締めるように力強く歌う柊さんの姿。
当然ながら、今からそれを見ることはできないのだが、魂の叫びであることは理解できるのである。

シングルだからこその、捨て曲のない1枚。
楽曲単体での個性化というよりは、最後ということで、当時のベストを押し込んできたというほうがしっくりくる。
もう少し曲に違いを持たせても面白かったのですが、全力投球していることは言わなくてもわかるくらいなので、この刹那的な衝動性を堪能してみましょう。

2016年に1日復活することが発表されていますが、ようやく時代が彼らに追いついたのだということを証明してもらいたい。
会場が名古屋となると、なかなか足を運ぶのは難しそうですが…