ノーミュージック・ノーウエポン / ゴールデンボンバー | 安眠妨害水族館

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ノーミュージック・ノーウエポン [CD+DVD]/ゴールデンボンバー

¥3,000
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1. ブッコロ
2. SHINE
3. 欲望の歌
4. ローラの傷だらけ
5. 愛を止めないで ~I Love Me Don’t Stop~
6. 101回目の呪い
7. 片想いでいい
8. おはよ
9. Please!×3
10. 死 ん だ 妻 に 似 て い る
11. 好きだけじゃ足りなくて
12. 世界平和
13. さよなら、さよなら、さよなら

オリジナルアルバムとしては3年半ぶりとなるゴールデンボンバーの新作。
毎日のようにメディアで見かけるので、そんなに久しぶりとは思っていませんでした。

奇才・鬼龍院翔が紡ぎだす珠玉のメロディ。
本作において、もっとも重視されているのは、まさにそこであった。

前作「ゴールデン・アルバム」は、ブレイクの勢いを象徴するように、歌モノあり、ネタ曲ありの幕の内弁当的な内容。
そのせいか、いまいちアルバムとしての流れを作り出せず、本来の切れ味が鈍くなってしまっていたのも事実でしょう。

一方で、本作では"音楽こそが自分たちの武器である"というタイトルが示す通り、正々堂々音楽で勝負してきたといったところ。
90年代J-POPに影響を受けたのであろう耳馴染みの良いボーカルラインに、トータルコーディネイトを意識して丁寧に施されたアレンジ。
色眼鏡を外して素直に聴くことができれば、すっと体に馴染むようなアルバムに仕上がっているのです。

"やりたいことをやる"というと、ネタに振り切れるというイメージに捉えられてしまう部分もあるのですが、ネタで市民権を得た彼らにとっては、こういう作品こそが"やりたいことをやった"結果なのかもしれないな。
「SHINE」、「欲望の歌」、「ローラの傷だらけ」と序盤に畳み掛ける構成は前作同様。
しかしながら、歌モノが中心になった効果なのか、これらハードな部分を担う楽曲のキレがぐっと増した印象。
エゴイスティックにガツガツと攻めてくる迫力は、V系バンドとしてのアイデンティティを主張しているようですね。

「死 ん だ 妻 に 似 て い る」などの話題曲が、バランサーとしての立ち位置に置かれている贅沢っぷりにも注目。
あくまで主役は歌モノであるということを裏付けています。
ポジティヴもネガティヴも巻き込んだ等身大の歌詞も、幅広い層の共感を集めそう。
中盤、しんみりしすぎてしまう側面はあるものの、ラストに待っている壮大なバラード、「さよなら、さよなら、さよなら」まで、聴きごたえ抜群。
完全にノックアウトされてしまいました。

ちなみに、初回盤のDVDには、2時間にも及ぶ特典映像を収録。
バラエティー番組としても十分に成立させてしまうあたり、さすがとしか言いようがない。
これが付属しても3,000円というのだから、ファンでなくとも手に取ってみたくなるよなぁ。

SEを含む13曲というボリュームも、お腹いっぱいになりつつ、胃もたれしない絶妙な配分でした。
一発屋に終わることなく、ゴールデンボンバーの人気が継続している理由がわかる一枚。

<過去のゴールデンボンバーに関するレビュー>
ザ・パスト・マスターズ vol.1
ゴールデン・アルバム
酔わせてモヒート
ゴールデン・アワー~上半期ベスト2010~
イミテイション・ゴールド~金爆の名曲二番搾り~