ゴールデン・アルバム / ゴールデンボンバー | 安眠妨害水族館

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「ゴールデン・アルバム」 初回限定盤B/ゴールデンボンバー
¥2,980
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1. パトス
2. デスメンタル
3. 僕クエスト
4. 夜汽車
5. 酔わせてモヒート
6. 成龍很酷
7. さよなら冬美 -Euro Mix-
8. 今夜はトゥナイト
9. もう会えなくなるなんて
10. 今夜も眠れない(病的な意味で)
11. 女々しくて -K-POPバージョン-
12. 愛なんていらねいよ
13. 広がる世界

2012年の幕開けと同時に発売された、ゴールデンボンバーの1stオリジナルアルバム。
この段階で既にブレイクはしていたのだけれど、まさか、ここまで当たり前にお茶の間に登場するバンドになろうとはなぁ。

とにかく、価格が安い。
ベストアルバムが付属されるタイプや、はDVDがついてくるタイプでも、通常のアルバム価格。
CDのみのバージョンについては、ぼったくりレーベルのシングルよりも安いんじゃなかろうか。

タイアップを取り入れることで、この価格設定を実現したようですね。
CDの売れない時代に、CDが買われることを前提に協賛を行う企業が出てくるということ自体が、彼らの勢いを物語っているというか。
良さそうなアイディアではあるけれど、やろうと思って成立するアーティストも、現代ではそうもいないでしょう。

さて、肝心の内容ですが、正直なところ、あまり"らしさ"を感じられなかった。
ここまで、素直に名曲と思える楽曲と、斬新な切り口で盛り上げる楽曲を織り交ぜ、多彩な魅せ方をしてきたを彼らですが、アーティスト性を強めようとしたのか、どうもキレがない。
デスメタルと、メンヘラ気質を掛けた「デスメンタル」にインパクトがあったので、聴き始めの段階では、これは期待できるぞ、と思わされたのですが、そこから尻すぼみになってしまいます。

決して、ネタやメロディのセンスが、衰えたわけではない。
曲単体を切り取って聴く分には、ブレイクした理由が理解できる耳馴染みの良さと、バカバカしい面白さが交互に押し寄せる構成力は健在。
手を抜いているという印象は受けません。

「女々しくて -K-POPバージョン-」では、これでもかというくらい、K-POPからのオマージュが盛り込まれ、もう聴き飽きたよという楽曲のはずなのに、十分に新鮮さを与えるほどのアイディアが詰まっている。
「さよなら冬美 -Euro Mix-」も、原曲から比べると、だいぶイメージが変わりましたが、これはこれで名曲ですね。
バラードをトランス風のアレンジでやってしまえる思い切りの良さは、さすがはキリショーといったところ。

しかしながら、いまひとつテンションが上がりきらないのは、発表済みの楽曲に、盛り上げどころのすべてを任せすぎてしまっているからかな、と。
耳に残る曲の大半は、既に聴いたことがあるものばかりで、アルバム曲が目立つ場面が少なすぎる。
それはそれで安定感と考えられるのかもしれませんし、シングル曲を知らなかったら、割と楽しめるのかもしれませんけれど、バンドの本質として、新鮮さこそが強みだもんなぁ。
作品中での役割分担的に、新曲がライブ感に欠けるミディアムナンバーばかりで、物足りなさを覚えてしまった。
上述のとおり、個々には良曲が揃っているだけに、ポテンシャルを活かしきれていないのが、もったいない限り。

本作は、武道館2DAYSの直前でのリリースだったのですが、アルバム曲の半分くらいは、そのライブで披露されず。
きっと、これが答えなのだろう。
ライブで演奏されたら、演出はどうなるんだ?
CDで聴いたら普通の曲だったけれど、ライブで見たら、こういうネタになっているのか!
そんなドキドキワクワクがないまま、消化不良になってしまっている楽曲が多いのかもしれません。
これまでが衝撃的すぎたこともあり、ハードルが上がりきってしまっているという点で、同情の余地はあるのですが・・・

キリショーさんの喉の調子が悪いようで、せっかくヒットしたのに、リリースペースが落ち着いてしまったのは残念。
その分、様々な角度から完成度を高めるための、自己研鑽の期間としてもらいたいものです。
金爆という通称通りの爆発力を引っさげて、更なるエンターテインメントを届けてくれることを祈っていますよ。

<過去のゴールデンボンバーに関するレビュー
酔わせてモヒート
ゴールデン・アワー~上半期ベスト2010~
イミテイション・ゴールド~金爆の名曲二番搾り~