MIMIC / My BACTERIA HEAT IsLAND | 安眠妨害水族館

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MIMIC (Aタイプ)/My BACTERIA HEAT IsLAND

¥3,024
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1. 嗚咽
2. ネジレル
3. REAPER MIMIC
4. 灰色の森
5. 凶の世界
6. 目覚める2分前

My BACTERIA HEAT IsLANDの1stミニアルバム。
2種類同時のリリースですが、収録曲は同一で、DVDの収録内容が「嗚咽」のMVか、「凶の世界」のMVかで異なる仕様となっています。

どんどん独自の進化を遂げているな、と思わせる彼ら。
サウンド的には、V系シーンの流行に歩み寄るのではなく、どちらかと言えば邦ロックのムーブメントにアンテナを張っているイメージである。
しかしながら、アウトプットにおける過程で、V系シーンに馴染む世界観にしっかりとカスタマイズ。
その作業が絶妙で、グロテスクな美しさ、儚く繊細な乱暴さ、相反する感覚を同時に表現しているように映るのです。

特徴としては、1曲1曲が短くコンパクトに引き締まっていること。
短いもので2分、長いものでも3分台と、生き急ぐようにとにかく前へ、前へと進んでいきます。
Vo.点々さんの、迫力のある感情剥き出しのボーカルスタイルも、そのスタイルにフィット。
非常に密度の濃い内容に仕上がったな、と。

重たくダークな「嗚咽」が、導入を飾る。
サビになると三拍子になる癖のあるナンバーであるが、鋭さと重さを兼ね備える、実に彼ららしい楽曲と言えるでしょう。
「ネジレル」は、スクラッチ音やミステリアスなシンセなど、音の選び方が自由奔放。
ベースとなる重たいロックンロールは維持しつつ、メリハリのあるミディアムチューンになっています。

アルバムタイトルが含まれることから、本作におけるコアであると推測できるのが「REAPER MIMIC」。
ヘヴィネスと雰囲気重視の前2曲に比べて、疾走感やメロディが研ぎ澄まされており、一度聴いただけで、この曲なら点々さんの激情的な歌声を活かすことができると確信しました。
シングルで切るとしたらこれ、という内容。
「灰色の森」は、淡々と進む演奏と表情豊かなボーカリスト、重なり合うとどうなるのかという実験要素もあり。
My BACTERIA HEAT IsLANDに、新たな風を吹き込む曲になったのでは。

「凶の世界」、「目覚める2分前」は、どちらも2分台と短い楽曲。
ただし、メロディが立っていてもっと長く聴いていたい気もする「凶の世界」と、激しさで最後まで押し通した「目覚める2分前」とでは、持ち味が異なります。
MVが制作された「凶の世界」が締めでもハマりそうなのだけれど、ラストを衝動的に終えたかったのか、とにかく攻めに攻めた楽曲を締めに起用。
捨て曲らしい捨て曲がないまま、クライマックスを迎えました。

歌詞とリンクした散文詩も、ブレずに展開される世界観も、総合演出的なMBHIの個性。
当初はインパクト不足かな、とも思いましたが、なんだかんだでじわじわと蝕まれていく。
気が付いたらリピートを繰り返していて、どっぷりとハマり込んでいましたね。
ワンマンバンド感は抜けないけれど、それだけボーカリストの表現力を活かすための音楽が徹底できているということ。
キラーチューンがなくとも勝負できるのだという自信が感じ取れる一枚です。

<過去のMy BACTERIA HEAT IsLANDに関するレビュー>
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