Brave Agonistic Letters Under Segregation/JILUKA | 安眠妨害水族館

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Brave Agonistic Letters Under Segregation/JILUKA

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1. B.A.L.U.S
2. Screamer
3. Prisoners
4. D.O.J
5. Crossing Fate

2015年2月より現体制で新始動となったJILUKA。
本作が、デビュー・ミニアルバムとなります。

"暴虐の美旋律とライジング・アグレッション! !"とのことだが、確かに、次世代のラウドサウンドといったところ。
ヘヴィーなメタルサウンドを武器としながらメロディにも気を配っており、男性リスナーを見方につけそうな硬派さを持つ。
そのうえ、現代V系シーンにも溶け込みやすいスタイルで、ぐんぐんと上昇気流に乗っていきそうな勢いを感じますね。

近年、この手のハードなサウンドを売りにするバンドは、デスヴォイスをまくしたてるラウド寄りのスタイルか、シンフォニックメタルを基調とする耽美なスタイルのどちらかに分けることができていた印象。
その中で彼らが"次世代的"だと思った理由は、あくまで"ヴィジュアル系の王道"ありきで、シーンに定着化してきたラウドやメタルを下地にしている部分だろう。
他のジャンルから持ってくるのではなく、掘り出したような感覚。
その結果、彼らのサウンドからはハイブリッドさが見て取れるのである。

これがJILUKAの特徴なのかな、と思ったのは、鋭いギターが、ギラギラした同期と結びついてテンションを高めていること。
重低音に、重低音に、とへヴィネスを強調するリズム隊の間を切り裂くように、尖りに尖ったフレーズが耳を貫く。
重いサウンドで黒く塗り潰すだけでなく、上モノを使って色を足すこともできるのが、彼らの強みと言えるのでしょう。

そして、もうひとつは歌メロ。
ラストに収録された「Crossing Fate」が象徴するように、メロディアスな部分でのインパクトは鮮烈。
楽曲の構成としては、シャウトが大半を占めているものもあり、メロディを歌い上げるパートは必ずしも多くはないのですが、だからこそ、歌声になる場面がドラマティックに映ります。
この手のバンドによくある、クリーントーンになると弱いといったところも特に見られず、非常に高いクオリティでシャウトもクリーンもこなす。
5曲があっという間で、物足りないと思わせるくらいの体感速度で聴ききってしまいました。

メンバーチャンジを経て、改めて新人バンドとして登場した彼ら。
初期衝動が詰まっているのは、仕切り直しに賭ける気合いの表れによるものなのだろうか。
この衝動性を維持できれば、一気にシーンを駆け上がる可能性あり。
2015年、注目していきたいバンドのひとつです。