カメラ オブ スキュラ / ピュエラ | 安眠妨害水族館

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カメラ オブ スキュラ/ピュエラ
 

1. カメラ オブ スキュラ
2. メ・ザ・メ

Soleilバンド、ピュエラの1stCT。
1999年の作品です。
初回1,000本が青いプラケース仕様。
2ndプレスは通常のケースで、モノクロのジャケットとなっています。

ボーカリストとギター2人という異色な編成ですが、リズム隊を打ち込みにすることで、他のバンドには出せないデジタルチックな質感を実現していたのが、彼らの大きな特徴。
現代ほど同期のクオリティが高くない時代、チープさを逆手にとったアプローチと言え、ある意味、90年代だからこそ登場したバンドなのかもしれません。

「カメラ オブ スキュラ」は、後に再録される代表曲。
一発目に持ってくるだけあってキラーチューンっぷりは発揮しているのですが、リテイクバージョンを聴いてしまうと、ショボさが目立ってしまいますかね。
彼らの楽曲の中でも、バンド感が出ているナンバーだけに、素直に疾走するところでの軽さが隠し切れない。
これは、アレンジを工夫してデジタルに振り切った「Shadow of Wizard」収録バージョンを聴いてもらいたいです。

「メ・ザ・メ」は、ダークさに特化したミディアムチューン。
ミステリアスなシンセと、ツインギターが気持ち悪く絡み合い、艶めかしいメロディを真っ黒に彩っていく。
重苦しいサウンドでずっしりと圧力をかけるのではなく、無機質で乾いているのだけれど、精神的に黒く染められるような悲壮感があるのだよなぁ。
終盤で激しくなるところでは、やはりチープさが先立つ。
とはいえ、要所要所に織り込まれるフレーズのセンスはさすがです。
特に、ラストシーンが印象的。

チープさを、いかに強みに変えるか。
そこでの見せ方を徹底していたバンドなので、再結成等の話が出なくとも、今もなお語られる機会があるというのも納得である。
後にも先にも、ピュエラのようなバンドはピンポイントでは見当たらないのですよね。

作品単体としては、まだまだ。
表題曲がCDで聴けることを考えれば、無理に手に入れる必要はないのですが、彼らのスタートを飾る1本として、コアなファンは聴き比べたいところでしょう。

<過去のピュエラに関するレビュー>
Shadow of Wizard
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