歌手活動150周年リサイタル 種まき蔵コンサート@仙台MACANA(2015.4.24) | 安眠妨害水族館

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Jin-Machineのニューアルバム「種まき蔵」のリリース記念ワンマン、「歌手活動150周年リサイタル 種まき蔵コンサート」に行ってきました。
12ヶ月連続ワンマンの合間でのワンマンツアー。
かなり精力的に動いている印象です。

3会場で行われたこのワンマンも、これがファイナルということで。
ファイナルが東京ではなく、地元仙台というあたりに、彼らの真意が見えるような気がしますね。

タイトル通り、本編は「種まき蔵」の収録曲オンリー。
定番になっていきそうな楽曲もちらほらあるものの、後々にレア曲になりそうな楽曲もあり、とても貴重なライブとなりそうな気配。
オープニングは、リードトラックである「宇宙忍者アメリカ」からでした。

まず驚かされたのは、衣装。
MINT NeKOとのコラボデーということで、アルバム用のかっちりした衣装ではなく、スタイリッシュな装いのメンバーたち。
特に、Gt.マジョリカ・マジョルカ・マジカル☆ひもり、Dr.ルーベラ・木村・カエレの両名が、ネコをイメージしてメイクも変えていて、インパクトがありました。

ひもりさんは、猫の鼻とひげを書き足すキャッツ風の大胆なメイク。
木村さんは、ネコ耳を髪型で表現したとのことですが、髪色も相まってアルルカンのボーカルさん以外の例え方がない状態になっており、MC.featuring16閣下に猛省を促されるという。
なんとなく、閣下以外のメンバーにおいても、笑いを取りに行くモチベーションが日増しに高まっている気がします。
僕は、破壊.あっつ the デストロイさんの衣装がツボでしたね。
ああいうの、好きです。

次に驚いたのは、緩急のついたセットリスト。
序盤は、青春パンクス的な「最幸論」、Ba.ブッシュドノエル・ 水月・アリッサさんの"令状持ってこいや!"という煽りで逆ダイする「警察24時」、閣下がアコースティックギターを構えて演奏するフォーキーな「夢の中で」と、先の読めない展開が続きます。
バラエティに富んだアルバム構成を象徴する流れではあるのですが、それでまとまりがない、ということにならないのは、彼らが作ってきたライブでの空気感のたまものである。

特筆したいのは、「夢の中で」。
V系っぽくない楽曲であることを逆手にとった、下北あたりでやってそうなバンド風の曲紹介からのスタート。
これは、なんだかじわじわきましたな。
その次のMCでは、"別ジャンルでの曲紹介あるある"や、"曲紹介大喜利"に発展し、ライブにおけるオプションとして、これからも使っていけそう。

最後に、もっとも驚いたのは、本編においてMCはこの一箇所だけだったこと。
通常であれば、コントやスライドといった面白コーナーや、ドラムソロ等のパフォーマンスも含めて、楽曲の披露以外にも何かしら仕掛けをしてきた彼ら。
しかしながら、この日のライブはレコ発ツアーであることを強く意識し、アルバムの楽曲を聴かせることに専念した内容になっていた。
もしかすると、物足りないと感じるファンもいたのかもしれないですが、個人的には、とてもハマっていたと感じます。
必要以上の面白要素を加えなくても、楽曲の持つポテンシャルを最大限に発揮できれば、十分に魅力的な楽曲たちであることを証明した形と言えるでしょう。

順不同になりますが、良かったところをメモ代わりに。
「約束の丘中学校校歌」は、イントロ前に、"甲子園で勝って効果斉唱をする"という設定のアナウンスが挿入。
設定を具体化することで、あんなシチュエーションで、こんなコテコテの楽曲を披露するのかよ、という面白さが広がる絶妙な演出かと。

一番聴きたかったのは、「夕焼け、メランコリー」。
やはり素晴らしかったです。
もっとモッシュ系のノリになっても良いと思うのだけれど、Jin-Machineに限らず、こういうタイプの楽曲はV系のフリと相性が悪いようで、棒立ちになってしまう場面が多いのがもったいない。
ただ、自然に体を動かしながら聴き浸るというのもオツなもの。
ノリが悪いと一蹴せずに、是非とも今後のライブのセットリストに残してもらいたいなぁ。

「まんざいC」は、ライブで化けますね。
漫才風の立ち位置で、ネタをやりながら、突っ込みの「オイ!」の部分で逆ダイ。
これは斬新というか、発明とも言えるのではないか。
他のバンドで真似されるようなことにはなり得ないけれど、だからこそ、確固たる個性を示す楽曲としてアピールしたいところです。

本編ラストは「じんましーんのくるくるロックンロール」。
ここで、まさかのサプライズが。
アルバムジャケットに起用されている"種まき蔵"こと、野田正光氏が登場。
実はこの人、clioneというバンドのギタリストであり、えんそくのGt.Joeさんともバンドを組んでいたことがあるのだとか。
急遽、野田さんも含めたツインギター編成で、演奏が開始されました。
前に出てきてファンと握手をしたり、お立ち台に乗ってみたり、さすがバンドマン、サービス精神が旺盛といったところ。
仕事帰りとは思えないパフォーマンスを見せてくれました。

アンコールは、仙台らしい楽曲ということで、「RA・RA・RA 楽園イーグルス」、「ヘルズキッチン」の2曲を披露。
「ヘルズキッチン」での、あっつさんとひもりさんのギターユニゾンに、閣下が「夢の中で」で使ったアコギを抱えて混ざろうとして、歌い出しをトチっていたのが微笑ましかった。
ライブ感をとにかく優先したステージングだった分、いつも以上にアットホームな雰囲気は控えめでしたが、アンコールでは少しラフになって、気持ちの良い空間になっていたと思います。

ところで、なんで「恋はMOCHO-KO-CHE」だけカットされたのだろう。
他の会場ではやっていたようだし、時間の関係なのだろうか。
あまり演奏される機会はなさそうだし、それだけが悔しいというか、残念というか。
切実に、いつか再演をお願いしますよ。