DICTATORS CIRCUS FINAL / PIERROT | 安眠妨害水族館

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DICTATORS CIRCUS FINAL/PIERROT

¥3,240
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DISC 1
1. HELLO
2. PIECES
3. Adolf
4. トリカゴ
5. 壊れていくこの世界で
6. REBIRTH DAY
7. AGITATOR
8. ゲルニカ
9. MAD SKY-鋼鉄の救世主-
10. ATENA
11. CREATURE
12. THE LAST CRY IN HADES (NOT GUILTY)
13. 鬼と桜
14. 蜘蛛の意図
15. SEPIA

DISC 2
1. HEAVEN
2. 新月
3. ENEMY
4. 脳内モルヒネ
5. 深い眠りが覚めたら
6. ANSWER
7. ネオグロテスク
8. MAGNET HOLIC
9. クリア・スカイ
10. ラストレター
11. BIRTHDAY
12. SUPER STRING THEORY
13. ドラキュラ
14. HUMAN GATE
15. CHILD

PIERROT初のライブ盤。
8年ぶりの復活となったさいたまスーパーアリーナでの2days公演、「DICTATORS CIRCUS FINAL」から厳選された30曲が収録されています。

ライブ盤とはいえ、2015年にPIERROTの新譜が出るという奇跡。
これまでにもライブをパッケージした映像作品はリリースされてきましたが、CDとなると、また違った感覚があるもので。
SEやMCは極力カットし、演奏シーンを中心に切り取った構成。
総合演出のたまものであるライブにおいて、その"音楽"の部分だけが凝縮されており、彼らのサウンドの素晴らしさに改めて気付くことができるのだ。
アットホームな部分がなくて寂しいというファンもいるのだろうけれど、そこは映像作品との住み分け。
その分、より引き締まった内容に仕上がったと言えるでしょう。

「HELLO」により復活を果たすと、「Adolf」、「トリカゴ」といったインディーズ時代の楽曲も積極的に組み込む彼ららしいセットリスト。
「MAD SKY-鋼鉄の救世主-」や「CREATURE」、「蜘蛛の意図」といった青春を彩ってくれた楽曲たちが、過去のものではなく、瑞々しい輝きを放って耳に飛び込んでくるのだから、感動モノです。
初日を締めくくった「SEPIA」は、何度聴いても名曲。
DISC1だけでも、充実感に満ちています。

オーディエンスの歓声が、仕切り直しを告げるように響く「HEAVEN」でスタートし、「新月」、「ENEMY」とテンションを上げていくのが2日目の構成。
「脳内モルヒネ」、「ネオグロテスク」、「クリア・スカイ」・・・
様々な時期の代表曲が惜しみなく披露され、「HUMAN GATE」、「CHILD」と続く終盤は涙がこぼれそうになるほど。
特に「CHILD」のラストシーンはライブだからこそのアカペラパートもあって、こんなにドラマティックな楽曲であったか、と新鮮さすら感じました。

失礼ながら、演奏が上手いイメージはあまりなかったのだけれど、それも良い意味で覆された。
さすがのキャリアといったところで、8年間もこの5人で演奏していなかったのが信じられないくらいのコンビネーションを見せています。
CD越しに聴いてもなおカリスマ感に溢れたVo.キリトさんの歌声。
こんなに安定していたっけか、と驚いてしまいました。
個性的なシンセギターの主張も、まさにPIERROT!とテンションが上がりますよね。

シングルベストよりもベスト的。
これを生で見られなかったことを後悔したくなるくらいに、格好良いアルバムですな。

ただひとつ、「満月に照らされた最後の言葉」や「PURPLE SKY」が収録されていないことだけが納得いかない。
名曲が多いバンドだからこそ、誰かが笑えば誰かが泣く、ということは理解しているのだけれど、これだけクオリティが高い作品なのだから、それでも聴きたかったというのが本音です。
全曲収録でないことだけが惜しいなぁ。

<過去のPIERROT(Pierrot)に関するレビュー>
HELLO
DICTATORS CIRCUS-奇術的旋律-
神経がワレル暑い夜
FINALE
CELLULOID
パンドラの匣
気狂いピエロ