【Re BIRTH】~いつまでも子供のつもりが~@新宿ReNY(2015.4.12) | 安眠妨害水族館

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1年ぶりとなるSabãoのワンマン、「Sabão Special LIVE 2015 【Re BIRTH】~いつまでも子供のつもりが~」。
前回のLIQUIDROOMと比べるとキャパはだいぶ小さくなりましたが、その分距離が近づき、ちょうど良い感じでしたかね。
ファンクラブ先行でチケットを購入すると、配布CDもあり。
2、3日前にレコーディングを行ったとのことだけれど、よくそんなスケジュールで間に合ったものだ。

タイトルにもなった"いつまでも子供のつもりが"というフレーズは、Hysteric Blue時代のシングル、「Dear」の歌詞から。
この日も、その「Dear」からのスタートでした。
イントロ部分をリピートさせたSEでサポートメンバー、Dr.楠瀬タクヤ、Vo.Tamaの順で登場すると、そのまま、楽曲に入っていくという導入。
当日はタクヤさんの誕生日だったわけだけれども、"もうすぐハタチ"とリアルタイムで歌っていた彼らが、いつの間にか35歳を迎えたというのも、感慨深いものがありますな。

前回のワンマンと比較すると、ヒスブル時代の楽曲は最低限に抑えられており、セッション的に演奏された楽曲を除けば、ストレートに本編に送り込まれた楽曲は、この「Dear」と「ふたりぼっち」くらい。
さすがに増えてきたSabãoとしての楽曲を中心とした構成になっていました。
そういう意味では、真のSabãoの初ワンマンはこの日だったと言えるのかもしれませんね。
【Re BIRTH】という言葉には、そういう意味合いも込められていたりして。

「アップデート」、「会いたくて」と、ポップでキュートな楽曲を畳み掛けると、早くもロック色を強めてハードさを出した「KNOW」を送り込み、会場をヒートアップさせる。
合間合間のMCは長めにとって、アットホームな空気を作り出すのですが、この日、ライブ中のTamaさんは気迫が凄かった。
ソロにしても、Sabãoにしても、最近の活動はアコースティック風の編成が多かったからか、バンド編成でのライブにがっつり気合いを入れてきたな、と。
特にロック調の楽曲では鋭く攻撃的な表情を見せ、気持ちが入りすぎて歌詞が飛ぶ場面もありましたが、それを補っても上回る表現力を見せていたと思います。

さて、この日の目玉は、ゲストを交えてのコラボレーションコーナーでしょう。
まずは、ex-BiSのプールイさん率いるLUI FRONTiC 赤羽JAPANが登場。
プールイさんとTamaさんのツインボーカルにより、Hysteric Blueの「RUSH!」で軽快に盛り上げると、今度は、LUI FRONTiC 赤羽JAPANの「リプミー」を披露。
さすがというか、なんというか。
ゲストという立場ながら堂々としたもので、あまりスタンディングでのライブには慣れていないように見受けられたSabãoのオーディエンスに、ロックのライブならではの一体感を植え付ける。
足りなかったピースがハマったような感覚で、良いコラボレーションだったのでは。

続いて登場したのは、武藤彩未さん。
こちらは、さくら学院からソロに転身して活動中のコテコテのアイドル。
やはりツインボーカル編成でHysteric Blueの「なぜ…」と、自身の「OWARI WA HAJIMARI」を歌い上げたのですが、何気に歌唱力も高くて驚かされる。
MCでの受け答えや立ち振る舞いが、古き良きアイドルのスタイルそのもので、Tamaさんが歌うパートを飛ばしたときもさりげなくフォローに入るなど適応力も示し、非常に優等生だったな、と。
(BiSが解散しているので、もうそのカテゴライズはないのかもしれないが)個性派アイドルと、正統派アイドル。
タクヤさんのサポートドラマーとしての守備範囲の広さのたまものなのですが、立て続けにコラボレーションされると、なかなか面白いものですね。

仕切り直し、といったタイミングで演奏されたのは、この日配布された「また明日」。
大人になったからこそ歌えるミディアムナンバーで、ポップなメロディの中に漂う哀愁が心地よく響く。
じんわり、余韻に浸っていると、激しさのある「アソビ」、昂揚感たっぷりの「BIG VENUS」と、ラストスパートに突入。
ラストは、ちょうど1年前に発表された「今~present~」で締めくくりました。

アンコールは意外性のある幕開け。
ムード歌謡的な衣装を身に纏い、上手からTamaさん、下手からタクヤさんが登場。
歌われるのは当然、杉本善徳さんがプロデュースしたデュエットチューン、「環状線」である。
フリも、ファンクラブイベントのとき以上に固まってきた感があり、アドリブを入れる余裕もあったようですな。

ここで、「春~spring~」を歌って大団円・・・となるはずだったのですが、もう1度流れる「環状線」のイントロ。
ハミングを口ずさみながら出てきたのは、LUI FRONTiC 赤羽JAPAN、武藤彩未さん、そして、なんと善徳さんじゃないですか。
すっぴんだったので、最初は気付かなかったのですが、こんなところでお目にかかるとは。
自らケーキに絵まで描いて、サプライズ要員として控えていたとのこと。
演奏での参加ではありませんでしたが、なんだか得した気分でしたよ。

せっかく全員出てきたので、ということで、「春~spring~」を全員のセッション形式で。
「なぜ…」や「春~spring~」といった代表曲を、コラボレーションの題材にしたのは、個人的には正解だと思いますね。
ライブでは外せない楽曲ではあるものの、ライブに足を運ぶ層には聴き慣れてしまっていたのも事実。
お祭り的に楽しみながら聴くことができたおかげで、新鮮味が戻ったような気がしました。

前回のようなヒスブル時代のレア曲は演奏されず、その辺りに期待していたというのも本音なのですが、あくまで今活動しているバンドなのだ、という想いが見えたのは収穫でした。
感傷に浸るのではなく、今何ができるか、どんな音で楽しめるか。
今年のワンマンは、これで最後とのことですが、仕掛けとしてはこれで終わりということもなさそう。
次は、どんなサプライズを連れて来てくれるのか、今から楽しみにしておきましょうか。

1.Dear
2.アップデート
3.会いたくて
4.KNOW
5.ta chi ma chi
6.MILK
7.たからもの
8.ふたりぼっち
9.Nightmare before decadence
10.RUSH!(with LUI FRONTiC 赤羽 JAPAN)
11.リプミー(with LUI FRONTiC 赤羽 JAPAN)
12.なぜ・・・(with 武藤彩未)
13.OWARI WA HAJIMARI(with 武藤彩未)
14.また明日
15.アソビ
16.BIG VENUS
17.今~present~

en1.環状線
en2.春~spring~(with LUI FRONTiC 赤羽 JAPAN and 武藤彩未)