Alien Syndrome / Cosmo-Shiki | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Alien Syndrome/Cosmo-Shiki

¥2,160
Amazon.co.jp

1. Division
2. posi
3. Theta in the sky
4. Night of Aliens
5. Vector
6. ソラリス
7. 星屑リフレイン

"コスモ"こと清水良行による宇宙テクノ・プロジェクト・Cosmo-Shiki。
本作は、一度発売延期となり、ようやく発表された2ndアルバムです。

ドラムンベースにチャレンジした「Division」、三浦俊一さんとの共作となる「posi」と、導入にインスト曲を2曲続けて。
テクノというジャンルにおいては、さもありなん、ではあるのですが、ポップなメロディも魅力であるCosmo-Shikiにおいては、冒険に出たと言えるのかもしれません。
1stで得た感触を更に突き詰めて、宇宙的なサウンドのイメージを凝縮。
シンセ風に使われるヴォコーダーボイスが特徴的で、面白い仕上がり。
Cosmo-Shikiのリスナーであれば、きっとこの良さをわかってくれるだろう、という信頼関係が見受けられます。

「Theta in the sky」は、満を持して、と言わんばかりの歌モノ。
ピコピコと電子音が炸裂する中に切なさが漂っており、あどけない清水さんの声質も相まって、なんだかノスタルジック。
90年代エレクトロをポップに加工して現代に昇華させるアプローチは、Cosmo-Shikiの真骨頂といったところでしょう。

"異星人たちのパーティナイト"をテーマに作られたという「Night of Aliens」は、イメージ通りのダンスチューン。
エフェクトボイスが、クラブ感、フロア感を強めており、半インストの踊れる曲に。
続く「Vector」は完全にインスト。
歪んだシンセサイザーが縦横無尽に暴れまわる感覚が、これが本当にエイリアン的。
音で宇宙を表現する、しかも、エイリアンをテーマにしてみる。
やってみるとできるものなのだなぁ、と感心させられました。

FLOPPYの小林写楽さんから提供を受けた「ソラリス」は、疾走感のあるメロディアスナンバー。
儚さの中に、壮大さを感じる。
刹那的であるが、雄大な時間の流れも感じる。
写楽さんのメロディセンスが、こうハマってくるのか!と唸ってしまった1曲でした。
「星屑リフレイン」も、ファンタジックな歌モノ。
ラスト2曲を、メロディが立った楽曲で締めくくることで、聴いた後の印象が切なさ寄りになるからズルいですね。
インストが多めに配置されたアルバムではあるが、仮にインストが苦手であったとしても、これを聴かされたら納得せざるを得ないという。

わかりやすくスペーシーなサンプリング音を使っているわけではないのに、出来上がったものは実にスペーシー。
初心者には、歌モノが多い「BLEEP UFO」のほうが聴きやすいかな、とは思いつつ、彼の世界観は本作のほうが感じ取れるような。

もっと他の楽曲も聴いてみたくなる、清水ワールドに触れたくなる一枚。
マイペースな活動だけに、前作から1年ちょっとで新作が届くとは思っていなかったので、嬉しい誤算でした。

<過去のCosmo-Shikiに関するレビュー>
BLEEP UFO