BLEEP UFO / Cosmo-Shiki | 安眠妨害水族館

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BLEEP UFO/Cosmo-Shiki
¥2,100
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1. gurigon dance
2. fractal
3. 砂の方船
4. Light Wave
5. UF_O
6. synesthesia
7. 時空の旅人

新宿ゲバルトや、無恥鞭アナゴなどで活躍する清水良行さんのソロプロジェクト、Cosmo-Shiki。
ケラ&ザ・シンセサイザーズ/NESSの三浦俊一さんをエグゼクティヴ・プロデューサーに迎えての、流通音源としては初となるアルバム作品です。

音楽的には、打ち込みが主体で、80`sエレクトロやブリープテクノをベースとしているものが大半。
シンセサイザーやヴォコーダーを巧みに操り、プロジェクト名の通り、スペーシーな世界観を繰り広げる。
そのうえで、歌メロは、案外ポップ要素が強かったりするので、テクノ初心者でも聴きやすさがあるのでは。

1曲目は、まさにブリープテクノらしく、発信音を効果的に使用したインスト「gurigon dance」。
ジャスト5分くらいの尺であり、導入のSEというよりも、しっかりと「BLEEP UFO」の音楽性を伝えるための構成要素のひとつ。

「fractal」は、切ないメロディが、なんとも物悲しさを煽る。
どこが盛り上がる、というわけではないのだけれど、じわじわと引き込まれるというか、感情を掴まれてしまいます。
続く、「砂の方船」は、昔からある楽曲のようですね。
中性的な声が、ボイスエフェクトによって加工され、機械的、だけど、人間的な優しさも感じられるのが興味深い。

「Light Wave」は、ポップ度合いが強い。
サビがはっきりしているので、楽曲としては、比較的わかりやすい構成になっているのかも。
作中、中盤での盛り上がりを担っているといった位置づけのナンバーなのでしょう。

後半戦の仕切り直しは、「UF_O」から。
本作のコンセプトを象徴するインストで、まるで、宇宙と交信しているようなデジタルサウンド。
こういう楽曲を聴くと、確かに、ブリープテクノと、宇宙的な世界観は、非常に相性が良いのだ、ということに気付かされますな。

終盤を締めくくるために用意されたのは、「synesthesia」と、「時空の旅人」の2曲。
どちらも、宇宙遊泳をしているかのような浮遊感が、サウンドに酔う感覚で味わえる。

「synesthesia」は、メロディそのものはポップ。
とてもメロディアスなのだけれど、高音に響くエフェクトの影響もあってか、声も含めてサウンド、というイメージも持たせてくる。
どことなくボーカロイド的、という言い方をしたほうが、今では伝わりやすいのかもしれません。
ラストの「時空の旅人」では、今度は、低音に響くエフェクトを。
ピコピコ界隈ではスタンダードなタイプのテクノポップといったところで、気持ちよくアルバムの幕を閉じます。

テクノと宇宙の親和性。
そこに目をつけたのは、素直に面白いですね。
「Light Wave」、「時空の旅人」など、三浦さんも作曲を担当しており、切ない雰囲気の曲と、ポップな曲で、アルバムに緩急が付いているのも、結果としては、良かったのではないかと。
半数程度、発表済みの楽曲のようですが、これまで手に取る機会が限られていましたし、アレンジも施されているので、個人的にはありがたかった。

この手のアーティストは、結局、白塗りピコピコ界隈の音楽性に耐性があるか、というところにはなってしまうのだけれど、新宿ゲバルトや、FLOPPYなどが好きな層であれば、間違いなくしっくりくるはず。
優しい中性的な声質を活かしたメロディラインも魅力的なので、そのうえで、メロディを求めたいという人にも、おススメ度合いは高い作品です。