雨宿り / 酔奴隷 | 安眠妨害水族館

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雨宿り/酔奴隷


1.雨宿り

2004年に休眠となった酔奴隷。
本作は、活動の停止と同時に発表されたシングルです。

生産枚数は1,000枚。
当初は会場限定でのリリースでしたが、後に店頭でも販売されました。

じめじめしたバンドサウンドに、昭和歌謡的なメロディを乗せるスタイル。
この時期は、初期ムックに影響を受けた音楽性のバンドが多く登場し、そして、淘汰されていった頃。
酔奴隷も、そのひとつとして1年と少しで活動を止めてしまいますが、彼らの場合、そのきっかけが移動中の事故というのが不運でした。
それにより、Gt.獅葉さんが死去、Gt.ゆーさんが重傷を負って引退。
まだまだ若いバンドだったので、可能性が失われてしまったのは、本当に残念です。

CDには、表題曲1曲を収録。
軽快なリズムと、ノスタルジックなギターのリフ。
だけど、どこか陰鬱で、重苦しい。
メロディが入ると、歌謡曲チック。
やっていることは、哀愁系バンドのフォーマット通りで、それこそ、ムックの「家路」あたりをお手本にしてそうなイメージでしょうか。

これ1曲で個性を見出すのは難しいのですが、ツボは押さえていると思いますね。
重さとスピードを確保したうえで、この手のメロディを送り込まれたら、たまらないとしか言いようがない。
荒削りな演奏も、世界観とマッチしているというか、若さ特有の葛藤のようなものが表現されているようにも聞こえてくる。
オリジナリティが出てくれば、面白いバンドに育っていたと思うのだけれどなぁ。

なお、ドラムを担当していたのは、ex-少女-ロリヰタ-23区、LOUD GRAPEのBANさん。
このシングルの時点では脱退してしまっていますが、ex-少女-ロリヰタ-23区、WING WORKSのリョヲ丞さんも在籍していました。
音楽性は異なるので、少女-ロリヰタ-23区の前身バンドというには弱いのですが、若い時代の彼らのサウンドを知っておくのも、通の楽しみ方かもしれません。