ノンフィクション / ベル | 安眠妨害水族館

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ノンフィクション (A type)/ベル

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1. ノンフィクション
2. 夕立ララバイ
3. ドラマ


  ノンフィクション (B type)/ベル

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1. ノンフィクション
2. 夕立ララバイ
3. やってない

ex-PLUNKLOCKのVo.ハロ、ex-AYABIEのGt.夢人らで結成されたベルの1stシングル。
2タイプのリリースで、それぞれ3曲目が異なります。

セッションバンド、KAKASHIをベースに、2014年から正式バンドとして活動開始。
これまで、配布CDや会場限定でのミニアルバムのリリースはありましたが、ようやく、流通作品が発表されたといったところでしょうか。

音楽性としては、喪服時代のシドを連想させる哀愁歌謡。
メンバーの直近のバンド経歴からすれば意外な気もするのですが、ハロさんは、PLUNKLOCKの前にレムという哀愁系バンドに在籍していたので、こういう方向性もなくはないか。
夢人さんも、そろばん在籍時はシドの後輩バンドとして交流があったわけだし、リスペクトの気持ちがあったのかもしれません。

「ノンフィクション」は、キャッチーなサビからスタートするナンバー。
80年代ポップス風のギラギラした雰囲気と、哀愁漂う切ないメロディには、ツボとしか言えません。
初期衝動だからこそ、ここまで吹っ切れた音楽性で突っ込むことができるのだろうけれど、キャリアがあるメンバーだけに、オリジナルに昇華するのも早い。
アレンジにも無駄がないし、ボーカルも安定していて、聴きやすい仕上がりとなっています。

カップリングの「夕立ララバイ」は、ホーン系のシンセを入れつつ、バンド感も高め、よりアグレッシブにギラギラと。
メロディや、ギターのズケズケズケというフレーズなどに、ノスタルジックな香りを含ませます。
ヴィジュアル系に昭和歌謡を馴染ませる。
ここ10年くらいで王道化してきたアプローチではありますが、それらの要素を、丁寧に積み上げた完成形とも思えますね。

A typeには、アコーディオン風の音色がレトロな空気感を高める「ドラマ」を。
B typeには、本作中ではもっともノリの良さが際立つ「やってない」を収録。
どちらも、作品の世界観を損なうことがない佳曲だと思うので、もし片方を選ぶとなると、迷ってしまう。
ライブでやりそうなのは、「やってない」のほうなのかなぁ。

徹底された昭和レトロ感。
マンネリになることなく続けられるかは未知数ではありますが、2015年になって、この路線に徹底して取り組んでいるバンドは稀有。
どうしたって期待せずにはいられません。
「星の都」くらいまでのシドが好きな人には、一聴の価値あり。