Always / R'OSE | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Always/R'OSE

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1. eternity
2. あの頃のように…
3. めぐり逢い
4. Fall In Love
5. Distance
6. Dear Love
7. sadistic night
8. Blue flower
9. forever
10. Always~あなたの心に~

R'OSEの1999年にリリースされた1stフルアルバム。
ビクターからのメジャーデビュー作となりました。

90年代ではまだまだ希少だったV系シーンにおける女性ボーカリストを擁するバンド。
R'OSEは、そんな少数派のひとつ。
アングラ系やメタル系ではなく、ソフビ路線のバンドに限定すると、今のシーンを見渡しても珍しいと言えるのかもしれません。

基本的には、Vo.YUKIさんが歌詞を書き、Dr.SHIGEKIさんが作曲を担当するスタイル。
ポップさを重視しており、V系特有の攻撃性やダークさを感じる部分はほとんど見られず。
良くも悪くも、"一般受けしそう"なサウンドのみで構成されています。
どの曲もキャッチーで、メロディアス。
演奏隊はあくまで後方支援といったイメージである。
堅実ではあるが、もっと見せ場があっても良かったのだけれどなぁ。

このバンドの強みとしては、やはりYUKIさんのハスキーボイス。
やや癖はありますが、当時のV系ボーカリストに比べれば安定感があり、爽やかさと色っぽさ、力強さとか弱さを同居させた歌声は、男性には難しいであろう表現も可能としていました。
せっかくの個性、王道たるコテコテナンバーを演奏してみてほしかったという気持ちもないわけではありませんが、これを最大限に活かすのだとすれば、ポップスに特化するという選択は間違ってはいなかったのでしょう。

"メジャーデビューしたヴィジュアル系バンド"であるのは事実だが、デビューできた=シーンの中核を担っていた、と捉えてしまうと、ミスリードになってしまうのかと。
実際問題、現代であれば、ヴィジュアル系には区分されないだろう音楽性。
PRINCESS PRINCESSのような80~90年代のガールズロックバンドを想像したほうが、ギャップを生まない気がします。
これも、ジャンルが細分化されていなかったからこそ、ですね。

なお、本作のレコーディング終了後にBa.TAKASHIさんが脱退。
メンバークレジットには、後任のHIROさんが掲載されていますが、弾いているのはTAKASHIさんとなります。
ちなみに、このTAKASHIさんは、後にメトロノームに加入するリウさん。
HIROさんは、R*A*Pを経て【MU:】に在籍するJetさんだったりするから、人に歴史あり。
サウンドにおける共通項は少ないのかもしれませんが、そんな観点から聴いてみても面白いですな。