BLISS OUT / DEATHGAZE | 安眠妨害水族館

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BLISS OUT [豪華盤]/DEATHGAZE

¥4,536
Amazon.co.jp

DISC1

1. GOD BLESS YOU
2. CRASH DOWN
3. BLOOD
4. MY DOPED BRAIN
& SKIN DEAD
5. IRIDIZE DREAM
6. SORROW
7. CHILDREN
8. UNDEAD FACT
9. SIX BLACK NINE
10. GRACE
11. BLISS OUT YOURSELF

DISC2

1. miscarriage
2. killing floor
3. FAZE HUMAN, RAZE HUMAN
4. proof
5. gethsemane
6. Mr.FREAKS
7. THE FIST.(ボーナストラック)

残念ながら活動が止まってしまったDEATHGAZEの4thアルバム。
2010年にリリースされた作品です。

改めて振り返って聴けば、本作が彼らのアルバム作品としては、もっともバランスが良いということになるでしょう。
その後にリリースされる「CREATURE」、「ENIGMA」の2枚のオリジナルアルバムは、それぞれ激しい楽曲とメロディアスな楽曲に振り切れていて、コンセプチュアルな側面がある。
その点で、"アルバムとしてのバランス"を意識して制作されたものの集大成は、この「BLISS OUT」であると言えるのだ。

シングル曲、「BLOOD」、「SORROW」を軸にしながら、激しさに特化した曲あり、壮大なバラードありと、流れを意識した構成。
見方を変えれば、この"お約束"から脱したところに、DEATHGAZEの格好良さがあるとも捉えられるのだけれど、そこまで振り切れるきっかけとなったのは、この作品でほぼ完成形を作ってしまったからではなかろうか。
そう邪推できるほど、完成度が高いアルバムに仕上がっていますね。

まず、オープニングの「GOD BLESS YOU」の気持ち良さ。
序盤は激しくまくしたて、サビではメロディアスに。
今となってはありきたりな展開ではありますが、そのコントラストをこうも鮮やかに見せつけられると、爽快としか言いようがない。

そこからは、分厚いサウンドが下っ腹にドコドコと響く「CRASH DOWN」、ハードさは保ちつつも、歌モノの要素も取り入れた「MY DOPED BRAIN」、アクセント的にエフェクトボイスを取り入れ、癖を作った「CHILDREN」など、音楽のバリエーションが増えていくことに感心するばかり。
こうして、何かに特化した楽曲で幅を広げながら、「UNDEAD FACT」のような王道ど真ん中のハード&メロディアスチューンをぶち込むことで、ドラマティックな流れを作り出すのです。

ラストシーンは、ピアノを取り入れ、美しく広がっていくバラード「GRACE」から、切なく疾走する「BLISS OUT YOURSELF」への繋ぎ。
ずっしり重いサウンドを得意とするバンドなのに、この2曲については、ふわりと浮かび上がるような浮遊感があるように思うのです。
特に、「BLISS OUT YOURSELF」のギターのリフ。
シャウトとメロディが重なり、カオティックな場面もあるのだけれど、楽曲の世界観が一貫してブレないのは、このフレーズの効果が大きい。
名古屋系サウンドと、爽やかな疾走感が、こうもピタリとハマるとは。

衝動性については、「AWAKE-evoke the urge-」のほうが強かったですし、「CREATURE」、「ENIGMA」が個性的な作品だったため、彼らのオリジナルアルバムの中では地味なイメージがあるのも確か。
だけど、この作品があるからこそ、DEATHGAZEは安定感があるバンドとして語られるようになったのだと考えている。
こんなハイクオリティの下地を作ってしまえれば、どこにでも遊びに行けるよ、そりゃ。

ちなみに、豪華盤には、セルフカバー6曲+ボーナストラックが収録された特典CDが付属。
値は張りますが、フルアルバムとミニアルバムを購入したと思えば、妥当な価格。
ボーナストラックの「THE FIST.」は、葉月さんがボーカリストとして在籍していた時代からの楽曲ですが、藍さんバージョンで聴くと、また違った発見あり。
コアなファンであれば、聴き比べたいところです。

<過去のDEATHGAZEに関するレビュー>
ENIGMA
CREATURE
THE CONTINUATION
AWAKE-evoke the urge-