GLADSHEIM -NOIR-/Femme Fatale
¥2,700
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1. Walhalla(Instrumental)
2. Digitalis
3. BABEL
4. Crimson Nail
5. SALOME
「GLADSHEIM -BLANCHE-」と同時発売となったFemme Fataleのミニアルバム。
こちらのテーマは、"黒"を意味する"NOIR"となっています。
キャッチーでメロディアスな楽曲を中心に構成された「GLADSHEIM -BLANCHE-」とは対照的に、こちらは、ダークで重厚な楽曲を詰め込んだ内容。
"NOIR"だけに、ゴスゴスしい作品に仕上がるのかとも思ったのですが、表面的な激しさも追求していたりと、この2枚のミニアルバムにより、"ゴシック"の幅を広げていこうとする意図もあったりして。
「Digitalis」は、荘厳なフレーズを奏でるシンセや、女声を駆使したコーラスワークにより、教会的なイメージを強めた耽美メタル調のナンバー。
激しく、ヘヴィーに攻めていくのだけれど、あっという間に引き込まれてしまうほどの世界観もあり。
前に前にと突っ込んでくるようなドラムが、まるで馬車を走らせるために鞭を入れているようで、ほら、既に彼らの描く世界に誘われている。
ツタツタ、ザクザク。
ここまで踏み込むのか、と驚かされるハードチューンは「BABEL」。
とにかく、イントロの激しさは衝撃度抜群。
Kayaさんの歌が始まれば、一気に耽美で美しい黒に染まっていくのですが、切れ味鋭いメタリックな演奏部分にも、耳を奪われてしまいます。
「Crimson Nail」は、ダークな方向に特化。
ミステリアスに、緊迫感を纏って。
前の2曲ほどテンポは速くないものの、神経質に刻まれるリズムがシリアス性を煽って格好良い。
間奏でKayaさんの語りも入るのですが、これが演出として効いている。
単なるギミックではなく、ドラマティックに展開するためには必要なパーツとなっていますね。
最後の「SALOME」は、Kayaさんのソロ作品としても発表されていた楽曲のセルフカバー。
作曲者の依織さんがバンドメンバーとして加入したからこそ実現したといったところでしょう。
バンドサウンドが際立ったことで、引き締まった。
こんなにスリリングな楽曲だったとは。
楽曲のポテンシャルを引き出したとは、まさにこのことだろうな。
同時発売の2枚を比較するなら、こちらのほうがメンバーの個性が発揮されているのかと。
特に、激しい曲が多いことで、リズム隊が活き活きとしている気がします。
聴く前は、"なんとなく"で2枚に分けているのではないかと懸念していた部分もあったのですが、完全に杞憂でしたね。
それぞれに振り切った内容に仕上がっていて、どちらもレベルが高い。
「GLADSHEIM -BLANCHE-」の感想でも述べたとおり、価格はネックになり得るのだけれど、どちらか片方ではなく、両方聴いて補完させるFemme Fataleというバンドの音楽性。
極端に示されたサウンドは、ひとつに融合したときに、どんな化学反応をもたらすのだろうか。
当然ながら、次の動きとしては、それが見てみたいわけで。
願わくば、集大成となるであろうフルアルバムを期待したいものです。
<過去のFemme Fataleに関するレビュー>
GLADSHEIM -BLANCHE-
FREYA