世界を撃った男 case1 トカレフ / ケミカルピクチャーズ | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

世界を撃った男 case1 トカレフ/ケミカルピクチャーズ

¥1,620
Amazon.co.jp

1.世界を撃った男のテーマ welcoME to Our chaos
2.My Harlot BrOker
3.笑うピカソ
4.Human Rubbish

現在、My BACTERIA HEAT IsLANDで活動するVo.点々さんや、えんそくのGt.Joeさんなどが在籍していたケミカルピクチャーズ。
本作は、5枚連続でリリースされたEPの第一弾です。

このときは、Vo.てんてん、Gt.Joe、Gt.ビリー、Ba.Jimi、Dr.子雲の5人編成。
ビリーさんの在籍期間は極端に短いため、本作は唯一の参加作品となります。
ある意味、貴重な作品と言えるのかな。

連作である「世界を撃った男のテーマ」の第一弾は、とにかく攻撃的で衝動的。
序盤は、静かで穏やかな雰囲気なのですが、急にスイッチが入ると、ズタズタに切り刻むようなサウンドとシャウトの応酬。
てっきりSEだと思っていたので、してやられました。

そこから続くのが、「My Harlot BrOker」。
これまた、とてつもなく格好良い。
テンション高くサビからスタートする構成ですが、衝動のみで突っ走るのではなく、メロディアスな部分はしっかり聴かせて、コーラスワークも凝っています。
メッセージ性の強い歌詞を叫ぶように歌うスタイルは、まさにてんてんさんの真骨頂であり、この段階で完全にノックアウトされてしまった。

「笑うピカソ」は、Jimiさんのセンスが色濃く出ているのか、ロカビリー調のベースラインが独特の雰囲気を作っています。
ガツガツしたロックンロールなのに、あまりヴィジュアル系っぽくないというか。
泥臭く音を詰め込むアプローチから、終盤にかけて、光が差し込むようなアレンジに変化していくところが好み。
"らしさ"は、もっとも感じられるのではないでしょうか。

ラストの「Human Rubbish」は、疾走感のあるメロディアスナンバー。
テンションの高い楽曲が続いた分、繊細で切ないフレーズが気持ち良い清涼感として吹き抜けます。
ゆったりとした楽曲を持ってくるのではなく、衝動性をスピードとして維持したまま、メリハリをつけてくるところがポイント。
クロージングとしても効いていますね。

ちなみに、「Human Rubbish」の後、そのまま再生を続けていると、なにやらシークレットトラックが。
内容は、Jimiさんによる「笑うピカソ」がワンフレーズのみ。
意外性があって面白いのだけれど、個人的には、トラックを分けてほしかったなぁ。

これはインパクトが大きかった。
続編が楽しみになった一枚。
ボーカリスト・てんてんと、衝動性に溢れたオルタナサウンドとは、なんでこうも相性抜群なのでしょう。

なお、「世界を撃った男」シリーズ5作については、それぞれに収録されている「世界を撃った男のテーマ」とシークレットトラック以外の楽曲がまとめられたベストアルバムが存在。
そちらには、ライブでの定番曲である「Stand by me」のスタジオテイクが収録されているということで、ひとつひとつ集めるよりは、そちらを手に入れるほうがお手軽かもしれません。

<過去のケミカルピクチャーズに関するレビュー>
Goodbye to My old avarice
拝啓…詐欺的道化師音楽愛腐女子様方へ所詮戯戯レ言サレド純粋無垢ナ音楽
世界を撃った男 case5 ピースメーカー
Präparat