but Beautiful / Moran | 安眠妨害水族館

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but Beautiful (通常盤)/Moran

¥1,620
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1.but Beautiful
2.秒魔
3.Break the silence

Moranによる2014年第一弾シングル。
通常版にのみ、「Break the silence」が収録されています。

Gt.SIZNA、Gt.vivi、Dr.Soanがそれぞれ作曲を担当した3曲。
前作、「dark」において、メンバー全員が作曲に挑戦したこともあり、楽曲の幅がますます広がっていきそうな気配。
常にバンドスタイルがアップロードされていくようで、飽きが来ませんね。

表題曲の「but Beautiful」は、デジタル色の強いアッパーチューン。
ツインギターの絡まり方が独特だな。
現代ロックにしては、音と音の間に隙間を作っているというか。
音数が足りないわけではまったくないのだけれど、引き算の美学を感じさせるのですよ。
ハイテンションなのに、繊細さを際立たせている。

サビについても、本筋のメロディより、コーラスに耳を奪われます。
シングル向き、というよりは、一曲目向きなのだろう。
リードトラックとしてのインパクトは弱いが、出だしに持ってきたかった気持ちはよくわかる。

カップリングの「秒魔」は、レトロなSEからスタートするミディアムナンバー。
メインのサウンドに移行すると、和風テイストが強まってくるでしょうか。
ウネウネしたギターフレーズと、マニアックなメロディの取り方。
Hitomiさんの歌い方もダークさを意識しているようで、Fatima時代を想起させます。
ラストの盛り上がりで、語りとメロディを重ねて、ぐちゃぐちゃに塗りつぶしていくアプローチもハマっていて、viviさんの楽曲が、新鮮さと懐かしさを同時にMoranにもたらしたと言えるでしょう。

ボーナストラックとなる「Break the silence」は、Soanさんが作曲しただけあって、彼らの王道。
ギラギラした同期に、ダンサブルなリズム。
従来の彼らだったら、こちらがシングルになっていたのではなかろうか。
やや癖のある楽曲が続いただけに、安心感を落とし込むような役割もあるのかな。
デスヴォイス風のガナリが入ってくるのも、彼らとしては珍しいです。

真っ向から「Break the silence」をシングルにしていたら、マンネリ感が出てしまっていたかなぁ、とは思う。
そういう意味でも、「but Beautiful」をトップに持ってきたのはナイスな判断です。
この楽曲、アルバムのトップに入れても良い仕事をしそうなだけに、シングルで使われるのはもったいない気もしますが、捻くれていてこそのMoran。
「秒魔」も、古いファンをニヤリとさせる内容であるし、突いてくるポイントが絶妙である。

そろそろネタが尽きそう・・・というタイミングで、しっかり持ち直す引き出しの多さはさすが。
王道が固まったことで、邪道を打ち込みやすくなったところもあったりして。
たくさん音で遊んでいるのに、妙な安心感、安定感を与えてくれることも含めて、相変わらず、不思議なバンドです。

<過去のMoranに関するレビュー>
dark
妄想日記
ホロウマン
jen:ga
Eclipse
Snowing
L'oiseau bleu
トリコロール
Heroine