cocklobin FINAL主催2DAYS「闇の籠」@高田馬場AREA(2014.1.11) | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

2014年のライブ初めでした。
2月のワンマンでの完結が決まっているcocklobinのラスト主催。
対バンを聞いた段階で見たいバンドばかりだったので、これは行くしかないでしょうと。

2daysの初日は"光"、2日目は"闇"をテーマに、参加バンドを構成。
この日は、ダークなバンドが集結し、高田馬場AREAを真っ黒に染めていました。


L'eprica

久しぶりに見ることができたL'eprica。
Vo.Rayaさんって、こんなに格好良いステージングをする人だったっけか、と思ってしまった。
サウンドとしては、ダークな世界観モノが中心なので、大きく盛り上がるわけではありませんが、その中で、自由に動き回っていた印象で、例えゆるい楽曲でも、退屈さを感じさせない。
ラルクっぽさが抜けたわけではないのだけれど、しっかりL'epricaだな、と存在感を示すライブだったのではないでしょうか。

ブランクの影響か、演奏クオリティについては、ぎこちなさも目立ったのだけれど、感情面でカバーしていたように見えた。
「florence」からのスタートで、「Draw Pain」で締め。
6曲やったのかな。
トップバッターで、フワフワした空気を、暗黒に誘う役割をきっちり果たしていました。
これを機に、定期的な活動に持っていってほしいですなぁ。


Lament.

1.Valentine
2.Swimmer
3.Because of you
4.Lily
5.Whirling Black
6.UNMASK

ライブは初見だったのですが、男ファンから支持される理由は良くわかった。
楽曲は、古き良きを踏襲しているダークテイスト。
それを、感情を込めたステージングを繰り広げるVo.悠歌さんが、一手に引き受けて放出しているといった印象でした。
しっかりと世界観を作り込み、惜しげもなく全身で表現。

個人的には、特に前半が良かったですかね。
照明が暗めで、表情が良く見えない。
しかしながら、シルエットとして見えるパフォーマンスで、ダークな世界へ引き摺り込む。
歌唱力も、安定していたように思います。
もう少し、全体の中でメリハリがつけることができれば、化けそうな気がする。


yazzmad

少しアウェイ感があるほうが、yazzmadにはマッチするのかもしれません。
無理に盛り上げようとするのではなく、音楽で際立って、先輩格に一泡吹かせようという野心。
淡々と演奏していくことで、徐々にオーディエンスを引き込んでいきました。
楽曲としては、deadmanなんかと通じるところがあると思っているので、実は、この日の対バンとも親和性が高かったような。

Vo.ナオキさんの柔軟な表現は相変わらずでしたし、この日は特に、Gt.健希さんのステージングがキレキレでしたね。
このシーンでは、なかなか用いられないようなフレーズやテクニックを堅実に弾きこなし、そのうえで、ダイナミックに動きを入れていた。

新曲も披露されましたが、本当、V系シーンでこういうのをやるのか、というセツナロック。
どういうところから弾が飛んでくるのかわからない引き出しの多さに、ワンマンに行ってみたいという気持ちが高まりました。


dieS

所謂、暗黒系のバンド。
音源を聴いている限りでは、このライブの盛り上がりは想像できないだろうな。
ゴスを意識した、あまりメロディらしいメロディがない楽曲も多いのですが、そこを、V-ROCKと上手く結びつけて、ライブならではの一体感を生み出している。
ステージングは、玄人好みの渋さがあるし、オーディエンスとして参加するのも楽しい。
それだけで、見る価値のあるバンドですね。

お正月を絡めて、MCではくだけた一面を見せるのもズルい。
あんな音楽を演奏する人たちが、こんなネタを仕込んでいるなんて・・・という小道具もあって、舞台裏を想像しても面白いです。
知らない曲も増えていたけれど、そんなのは関係なく楽しめるというのは強み。
音楽性は、現代シーンには馴染まないと思いますが、着々と動員を伸ばしているのも納得ですな。


トーマス

1.ターゲット
2.ピストル
3.Social Puzzle
4.パルス
5.サイケデリック・モバイル
6.煽動者-AGITATOR-

2月での解散が決まってしまったトーマス。
ラストワンマンを除けば、この日が最後のライブということで、しっかりとコンディションを整え、悔いを残さないように、という心意気が見えました。
ここ最近のライブは、ムラが目立っていたのですが、Vo.昌孝さんをはじめ、メンバー全員がどこか吹っ切れた印象で、迷いなく扇動したように思います。

高音を張り上げる部分でも声も出ていたし、演奏陣も要所要所で前に出てきて、見せ場を作る。
このステージが、毎回できていたら、結果は変わっていたのかもしれないな、と感傷的になったりもしたのですが、ライブの内容としては、終始攻撃的に攻めて、この日のイベントにおける自らの役割を全う。
音楽的には、毛色の違うバンドではありましたが、会場の盛り上がりを見ると、案外、アウェイ感はなかったでしょうかね。

ちなみに、「サイケデリック・モバイル」のタイトルコールで、オーディエンスが、携帯電話を開くフリをするのだけれど、それ、絶対ガラケーだよな。
あんまり、近未来的な感じがしなくなるな。


cocklobin

1.死と再生
2.Martyr
3.早贄
4.grisaille
5.ignite
6.fall on~
7.daphnis

en1.black

トリは、当然ながらcocklobin。
5年前、バンド結成時にはじめてライブを行った場所ということで、AREAへの思い入れは深そうでしたね。
MCでは、V系っぽく、それっぽく喋ろうとするのだけれど、上手くまとまらず。
それがかえって、想いの深さを物語っていたのかな、とも感じました。

イベントの趣旨に従って、ダークな楽曲を中心に構成されたセットリスト。
これは、たまらなかった。
深海に沈んでいくようなVo.niguさんの癖のある高音と、時に激しく、時に繊細に紡がれる演奏の絡まりは、ともすれば、絶望の淵へリスナーを突き落とすよう。
しかしながら、最後の最後で、救いの手を差し伸べた「black」が、本当に印象的で。

セトリにも満足、パフォーマンスにも満足。
もうひとつ言えば、対バンにも満足。
最後に、素晴らしいイベントを企画してくれたことに感謝したいです。


詳細なレポートというよりは、感情論が勝ったような書きぶり。
まぁ、ここまで自分好みに組まれたイベントというのも珍しいもので、その辺はご了承を。

まったくもって、2014年のV系シーンの主流からは外れた音楽性のバンドばかりではありましたが、そういうバンドたちがAREAでのイベントを成功させることで、シーンの下支えになっていることは確か。
トーマスとcocklobinが解散してしまうため、"またこの面子で!"が期待できないのが、本当に寂しいな。