夢飛行 / Clavier~クラビア~ | 安眠妨害水族館

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夢飛行/Clavier
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1.夢飛行
2.プライベート*エネミー
3.Life

Clavier~クラビア~にとって、最後のCDとなったシングル。
2006年にリリースされました。

DaizyStripperの実質的な前身ということで、再評価されたバンドではありますが、青春の甘酸っぱさを思い起こさせる清涼感は、彼らにしか出せない強みでした。
その感覚は、後期のCDである本作にも、しっかりと刻まれていますね。
解散が見えていたからか、ジャケットや衣装といったアートワークの部分で、かなり簡素化されてしまっているのは残念。

表題曲である「夢飛行」は、爽やかさ全開。
この曲だけ、Vo.愁耶さんが作詞を担当しています。
ジャケットとマッチした、青空に広がっていくようなイメージを持つミディアムナンバー。
歌メロは、Aメロとサビのみというシンプルな構成ですが、徐々に盛り上がるアレンジにより、物足りなさを感じることはありません。
淡々とした部分と、力強く歌う部分、愁耶さんの歌い方にもメリハリがあって良し。

最後のサビのあとは、終演後のSEのようなインストが1分程度続き、余韻を引き立てます。
欲を言えば、その前に、すべての集大成をぶつけるような大サビが待っていたら、更に化けていた気もしますが、この素直さも、彼ららしさか。
雰囲気モノの範疇ではありながら、メロも立っているので、なかなか聴きやすい楽曲です。

カップリングの「プライベート*エネミー」は、疾走感のあるアッパーチューン。
イントロで、どことなく"浜崎あゆみさんの楽曲にありそう"と感じたのは、僕だけでしょうか。
ギターのフレーズが印象的で、テクニックよりもインパクトに特化した割り切りが、気持ち良さに繋がっています。
スピード感の中に、ノスタルジックなフレーズを散りばめて。
ファルセットに弱さはありますが、切ないメロディには気持ちを揺さぶられるな。

最後は、ストレートなポップチューン、「Life」。
全曲ポップさはありますが、その中でも群を抜いて、ポップな方向性を求めた楽曲。
とにかく素直に進行していくため、爽快感があります。
ストレートな曲が続くこともあって、少し遊びを入れても面白かったというのが本音ではありますが、ラストとしては、こういう大団円も必要なのでしょう。

言うなれば、ノスタルジック・ポップス。
 昭和歌謡や、哀愁路線ではなく、甘酸っぱい青春の香り。
複雑な構成や、テクニカルな演奏、あっと驚く展開を好む層には刺さらなそうな音楽性ではありうますが、これはこれで、大胆な戦略だったと思います。
このノスタルジーに触れてしまうと、必ずしも、スキルだけがバンドの良し悪しではないということを痛感させられる。
もっと、色々な楽曲が聴いてみたかったですな。

<過去のClavier~クラビア~に関するレビュー>
君とひまわり
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