狂い咲きオレンジロード@池袋手刀(2013.11.1) | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

カラビンカの”新音源「春を逝く人」発売記念単独公演「狂い咲きオレンジロード」”に行ってきました。
平日ではありましたが、19:30のスタートはありがたい。

入場者には、DVDの配布あり。
ジャケットや盤面の印刷がないのは残念でしたが、活動休止に入ってしまうバンドのライブ映像は貴重だなぁ。
なお、新音源の「春を逝く人」は、予想以上に会場に人が集まってしまったせいで、途中から購入枚数制限がかかっていた模様です。

少し押してのスタート。
1曲目の「天井裏発電機」は、スクリーンが閉まった状態で演奏されました。
もともと、轟音サウンドと、生々しくおぞましい、救いようのない歌詞が魅力の彼ら。
ライブハウスという音楽に集中できる環境において視覚を奪われると、それを改めて認識できるものなんだな。

音楽性としては、シューゲイザーやポストロックの路線なのだけれど、ドロドロとした歌詞や、コブシを効かせた歌い癖により、そこはかとなくアングラ臭が立ち込める。
それは、ときに"これ以上聴いていたくない"という嫌悪感でもあります。
しかしながら、その表現には引き込まれてしまうという、怖いもの見たさ的なアクトなのですよね。
見たくないものを、指の隙間から覗き込む背徳感と罪悪感。
本人たちの予想に反して、この公演を予約完売させた勢いは、そこに魅せられた人が、それだけ多いということなのでしょう。

「罪と罰」などで、序盤の勢いをつけると、「真夜中の曲馬団」からは、どっぷりと濃い楽曲を立て続けに。
必ずしも、ストレートな楽曲ではなく、拍子にしても、展開にしても、複雑で難解な構成に、和メロを乗せて、オルタナ歌謡曲にしてしまうあたりのセンスは凄い。
蠢く、渦巻く、怨念や狂気。

Ba.高橋サヲリーナさんがボーカルをとる「赤蜻蛉」あたりからは、ライブ的なノリも強まってきます。
昭和レトロな歌謡色が強い新曲「六月の通り雨」、ネタっぽいノリも交えつつ演奏はハードに責める「鋼鉄高橋」、ダンサブルな「童貞ですこ」と、アプローチは違えど、カラビンカとして芯の見える楽曲で盛り上げる。
これも新曲であるらしい「素晴らしき人々」は、マンソンのオマージュなのかな。

新旧の楽曲を散りばめて、お約束のフリや、激しい煽りがあるバンドではないけれど、徐々に高まる一体感。
「通り魔行進曲」、「風船音頭」で、この日一番の大騒ぎに持っていくと、本編ラストは、「春を逝く人」。
この楽曲、とてもパワーがありますな。
音楽性としては、正当派のオルタナロックで、どこか光が見える楽曲。
そこに、悲壮感、喪失感が溢れる歌詞が重なることで、とてつもない感情の爆発を生み出していました。
素直に格好良かった。

アンコールは、ドラムのリズムのみで、Vo&Gt.工藤鬼六さんが祭囃子風のメロディを歌い上げる、「俺と純の角刈り男祭り」。
楽曲名は、メンバーがアップしていたセットリストを拝借していますので、本当にこんなタイトルなのかはわかりませんが、ネタ色が強い薔薇方向の歌詞は、インパクト絶大でした。
途中で、無茶振りのような形で放り込まれるサヲリーナさんのモノマネも相まって、この曲は忘れられないな・・・
当然、これでは終われないということで、カラビンカとして最初にできた楽曲、「宵待草」で締めました。

2ndアンコール、3rdアンコールは、本編でも演奏されたナンバーを改めて。
予定では、順番が違っていたようなのですが、「風船音頭」、「春を生く人」、「六月の通り雨」が披露されました。
新曲をラストに持ってくるというのも、勇気がありますな。

「春を生く人」は、あえて、こちらの表記を使わせてもらいました。
工藤さんが曲振りのタイミングで、「たった一人の為に作った曲だったけれど、初めて、あなた方の為に歌う。春を「生きる」人と書いて春を生く人、そういう気持ちで歌う。」といった趣旨のコメントをしていて、とても高まった。
アドリブだったようですが、捻くれたバンドが、最後に素直な側面を見せてきたようで、不器用なところが、また味になっていましたよね。

書くタイミングがなくなってしまいましたが、東北弁でのMCや、ライブドリンクがやかんの水だったこと、フリーターor正社員のコール&レスポンスなど、オンとオフの切り替えもはっきりしていて面白かったです。
このライブをもって活動休止となるカラビンカですが、年内に、もう1本だけライブがあるとのこと。
また、活動再開についても、ある程度目処は立っているようで、それは嬉しい限り。
ようやくライブが見れたところで、活動が一旦お休みになってしまうのは寂しいですが、発売されたミニアルバムを聴きながら、ゆっくり復活を待ちましょう。


セットリスト

1.天井裏発電機
2.罪と罰
3.彼岸花
4.雨、嘲う
5.真夜中の曲馬団
6.唯、散る
7.華に傷痕
8.赤蜻蛉
9.赤子、嘲う
10.六月の通り雨
11.鋼鉄高橋
12.童貞ですこ
13.素晴らしき人々
14.畜生の理
15.通り魔行進曲
16.風船音頭
17.春を逝く人

en1.俺と純の角刈り男祭り
en2.宵待草

en3.風船音頭
en4.春を生く人

en5.六月の通り雨