接吻~くちづけ~/BAISER

接吻~くちづけ~/BAISER

￥2,854

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1. Birth
2. You
3. Perfume
4. Fortune
5. 薔薇への供物
6. Die for…
7. The end of eternity…
8. 発狂

1994年にリリースされたBAISERの1stアルバム。
初回盤には、シークレットトラックとして、「発狂」が収録されています。

世間的には、メジャーデビュー時のメンバーの印象が強く、耽美的でポップというイメージを持たれているバンドではありますが、本作のリリース時からデビューの間に、Vo.紫さん以外は、全員が入れ替わっているため、音楽性についても、後期とはだいぶ様相が違っています。
初期の音楽性は、ずばり黒服系からの正当進化。
激しくも、平坦なメロディにより、デカダンな雰囲気を纏っているのですよ。

鍵盤とノイズが入り混じるインスト「Birth」でスタートを飾ると、疾走感がある「You」により、混沌とした世界観を演出。
ズタズタでダークな楽曲には、鋭い狂気を感じ、ダウナーでドロドロとした楽曲は、退廃的な不気味さを纏っている。
センスが良く、押さえるべきところは押さえているので、初期編成でのBAISERが好きなリスナーにはおススメのアルバム・・・と、いきたいところなのですが、そうもいかないのが、本作の残念なところでしょう。

兎にも角にも、音質が悪い。
音が小さいとか、こもっているとか、そういうレベルではなく、ボーカルとドラム以外のメンバーはどこにいるんだろう、と思ってしまうほど、存在感が消失。
一応、ギターは二本入っているはずなのだけれど、そもそも、音が聞こえてこないのですもの。

逆に、隠しトラックとして、「The end of eternity…」の後に続けて収録されている「発狂」は、ギターが前面に押し出されたツタツタナンバーで、これはこれで、耳が痛い。
わざと音割れさせたようなノイズエフェクトを使用していて、単純に聴きにくいです。
普通のアレンジで収録してくれていたら、激しくて格好良い楽曲だと思うだけに、もったいないかな。

また、紫さんの歌声の活かし方も、まだまだ洗練されておらず。
音楽性を踏まえれば、後期の作品に比べたら気にならないところではあるけれど、抑揚が少なく平坦な歌い方は聴く人を選びそう。

他の音が聞こえにくいだけに、ヴォーカルラインの良し悪しに終始せざるを得ず、初期衝動が先行しすぎた部分はあるのかもしれません。

中古相場としては、ワンコイン以下で手に入る場合が多いので、BAISERの歴史を知るうえでは。
入門編として初期BAISERに触れるのであれば、1995年にリリースされる「ASH」を聴くほうが無難でしょうか。

＜過去のBAISERに関するレビュー＞
華
psychoballet