【無職】じんましーん【糞麺】@Shibuya O-WEST(2012.11.25) | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Jin-Machineワンマンミサ 【無職】じんましーん【糞麺】に行って来ました。
整理番号的に、もう少しスカスカを想像していたのだけれど、なんだかんだで、WESTが普通に埋まっていたような。
ネタバンドに注目が集まっていることを、本人たちもわかっているようで、一過性のブームとなるリスクをとってでも、攻める姿勢を見せてきています。

開演前のBGMも、Jin-Machineセレクトだったのか、90年代ポップスと、アニソン系が絶え間なく流れ続けていて、とてもヴィジュアル系のライブとは思えない雰囲気。
この段階で、早くも彼らのスタイルが全開でした。

最近、メキメキと動員を伸ばしてきたという事実が、客層にも現れていましたね。
フリや暴れ方もぎこちない人が多かった印象。
もっとも、今回は、それがプラスに働いたかな。
新規が急激に増えるってのは、この界隈においては、ライブが殺伐になる予兆だったりするのだけれど、ライブがスタートしても悪い方向には転ばず、ほどよくアットホーム、ほどよく緊張感のあるステージになったのでは。
ネタ性を重視するバンドなので、リアクションが新鮮というのは、むしろ理想的な環境だったとも言えるでしょう。

彼らの笑いへのこだわりは、幕開けの時点から発揮されていました。
SE「Anfang der Geschichte」が流れ、メンバーが登場するかと思いきや、フェードアウトしてしまう。
開始直前の高揚感を逆手にとってのフェイント。
掴みを、うまく持っていきましたな。

序盤は、寸劇を演じながら、曲に入っていくという構成。
ここ最近の、垢抜けたキラキラカジュアル風の格好から、貴族という設定を思い出したかのような耽美な衣装にリニューアルされたということで、舞踏会がテーマになっていたようです。
1曲目から、「漆黒の舞踏会」とは、意表を突かれたというか。
サビでマリスっぽいと思っていましたが、ステージングを見ていても、意識している感じはありますね。
もちろん、それも含めてネタであるとわかったうえで。
続いては、「vanilla eyes」が披露されたり、意外性のあるセットリストではじまったな、といったところ。

「じんましーんのテーマ2」で寸劇パートから、ライブパートへ仕切り直すと、いきなりの特効が発動。
スモークの勢いが強すぎて、Vo.featuring16閣下が慌てるという、アクシデントなのか、ネタなのか、判断が難しい演出を噛ませて、盛り上げていく。
「ジャパニーズ・サークルモッシュ!」の煽りで、円陣を作らせると、フロアに下りて「ビジュアル音頭」で盆踊りを行うというのは斬新すぎました。
確かに、ジャパニーズ・サークルモッシュだな・・・

個人的には、コテコテ風味の「救声」、最新シングル「さよならアキラメロン」が立て続けに畳み掛けてきたのが嬉しかったです。
もっともテンションが上がった瞬間。
こんな前半戦に持ってきてしまって大丈夫かとも思ったけれど、全体的なバランスを見たら、これはこれでアリでしょう。
緊張したのか、演奏がもたつく場面も見られましたが、徐々に馴染んできた。
意外と、ギターに魅せ場が多いのですよね。
Gt.マジョリカ・マジョルカ・マジカルひもりが派手なフレーズを奏で、Ba.ブッシュドノエル・水月・アリッサが、重低音を下支えするコンビネーションが、案外出来上がっているなと。

そして、何より、破壊ことデスヴォイス担当、あっつtheデストロイの打つヲタ芸のキレが半端じゃなかった。
いつもに増して、気合が入っていました。
中盤では、Dr.ルーベラ・木村・カエレのドラムソロもあって、こういう演出もするのかと感心。
しっかり、演奏を前に出した魅せ方もするのだなぁ。
いや、その解は、閣下の衣装チェンジの時間稼ぎだったのかもしれないけれど・・・

ドラムソロが終わると、マイクを持って登場したのは、ギターのひもりさん。
「会いたくなくて会いたくなくてふるえる」を歌い出します。
正直、ピッチも微妙だし、リズムも合わない。
クオリティとしては、低いとしか言いようがないのだけれど、聴きどころはそこではありません。
DQN風のジャージ、グラサン、キックボードで登場した16閣下のインパクトたるや。
楽曲のネタを知っていれば、イメージは湧くと思われますが、ひたすらヤンキー口調で煽るというネタで押し通す。
妙に似合っていたのですが、どうなんだろう。

そこから、また寸劇チックに流れを進めていくのですが、不意に大喜利コーナーに突入。
閣下がMCで、残りのメンバーが回答者という配役だったのですが、閣下以外のメンバーも、予想以上に笑いに貪欲なんですね。
ひもりさんが滑り芸を徹底して、残りのメンバーがそつなくこなすという、役割分担が完璧。
事前に回答を準備している形式だったこともあり、グダグダになることも防がれており、ワンマンだからこその余興という意味では、良かったのではないでしょうか。
ライト層が、こういうのを見て、どう思うかはわかりませんが。

後半は、代表曲やら盛り上がる激しめのナンバーを中心に。
Xジャンプに、横移動モッシュ。
この辺から、オーディエンスの立ち位置がぐちゃぐちゃに入れ替わっていく。
本編ラストの「妹コントローラー」では、会場全体がダンスフロア(ただし、ヲタ芸)と化していたし、アンコールの「BackLetter」では、ヴィジュアル系特有のモッシュではなく、ロキノン系さながらの、フリースタイルなモッシュピットが出来上がっていたのが好印象。
ストレートなライブスタイルでも、なかなかステージングが上手いものでした。
歌詞が飛んだり、間違えたりは、ご愛嬌でしょうけど。

セカンドアンコールでは、新曲を。
「誰よりも早いクリスマスプレゼントを・・・」と紹介されたタイトルは、「クリスマスおわっちゃった」。
色々と突っ込みどころが多くて、笑いも起こっていたのですが、曲はいたって真面目。
ここまで、真面目にやってしまっていいものかと疑ってしまうくらい、シンプルなラヴ・バラードでした。
ひもりさんの淡々としたアコースティックテイストのギターの音色がツボ。
アンコールくらいから、メンバーの涙腺が危うそうな感じではあったけれど、そこでこんなストレートなバラードなんて演奏したら・・・というラストシーンでした。

特殊効果で、雪が降る演出も、単純に感動的だったなぁ。
だけど、あっつさん、座ってるだけだったなぁ。

全編終了すると、スクリーンに告知。
最後に演奏された、「クリスマスおわっちゃった」が、フールズメイト誌上限定CDとしてリリースされるとのこと。
MVが部分的に公開されましたが、閣下の格好が、いまさらのヨン様・・・
楽曲にネタがないと思ったら、MVでそれをやるか!という、壮大な前フリとオチのコンボを完成させていました。

また、春には、ワンマンツアーを2本行うようで。
1本目は、地元・仙台からスタートし、ファイナルは池袋手刀の2days。
2本目は、東名阪のみではあるけれど、ラストが新宿BLAZE。
趣向の違うワンマンツアーを短期間でぶっこんで来るなんて、もう、売れる数秒前って感じですね。

一応、知っている曲が大半だったけれど、曲やノリを知らなくても、素直に面白いライブだったのではないかと。
ここで固定客をつかめるかが勝負だと思うので、頑張って欲しいところです。