PEEP SHOW / メリー

PEEP SHOW(初回限定盤)(DVD付)/メリー

￥3,675

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1. PEEP SHOW  
2. 狂騒カーニバル  
3. センチメンタル・ニューポップ  
4. さよなら雨（レイン）  
5. PEEP♂HOLE  
6. BLUESCAT  
7. 林檎と嘘  
8. レトロフューチャー  
9. 高層ビルの上でラストダンス  
10. PLTC  
11. キマッてる太陽  
12. 窓から逃げたラブソング  
13. PEEP♀HOLE  
14. nameless night~名もなき夜~  
15. 妄想rendez-vous

メリーにとって、メジャー進出後2枚目となったフルアルバム。
シングル、「さよなら雨（レイン） 」、「林檎と嘘」を含む、15曲を収録。

タイトル通り、見世物小屋のようなショウ的要素が強い。
彼らの持ち味と言えば、切れ味抜群のパンクスと、哀愁たっぷりの歌謡曲ナンバーですが、本作は、世界観を持つメロディアスチューンに特化しているような印象。
ケバケバしくも、憂いを帯びている。
音だけをパッケージしたCDだというのに、「魅せる」ことに意識が置かれているような気がしてしまいます。

楽曲は、とても曲者揃い。
シングル曲こそ、王道テイストを残していますが、一筋縄ではいかない構成の曲が多いですね。
気持ち良い疾走感と、ウネウネの変態ギターが絡み合った「狂騒カーニバル」、ジャジーで渋い「BLUESCAT」、どんどんズタズタな展開になっていく「PLTC」など、メリーらしい、だけど、すんなり聴くには癖がある楽曲のオンパレート。
端的に言えば、カオスな空気を感じさせます。

しかしながら、ここで効いてくるのが、歌謡曲ライクなメロディたち。
どんなに捻くれた楽曲でも、歌モノのレベルまで持ち上げることができるセンスがあるため、全体的な聴きやすさも生み出しています。
きちんと激しさを見せつけつつ、これができるのだから素晴らしい。
ストレートなパンクスが1曲もないのに、「パンクが得意なメリー」というイメージも壊れていないのだよなぁ。

更に、本作の劇場性を高めているのが、効果的に挿入されるインスト。
まるで、場面転換のように、つなぎの役割を果たしています。
お洒落でアダルティーなフレーズには、こんなアクセントにも、個性の主張を忘れない彼らのこだわりが、はっきりと表れる。

これは、所謂コンセプトアルバムなのだろうか。
他の作品には見られない、様式美的な美学を感じることができるのが特徴かと。
コア向けとも、初心者向けとも違う、メリーの一部の側面をクローズアップしたような作風。
メロディにこだわっているものの、それぞれが浮いているわけでもなく、アルバムとしてのクオリティも高いです。

ラストには、ほんのりとインディーズ時代の代表曲、「チック・タック」のフレーズが。
これには、どういう意図があったのですかね。
個人的には、シングル2曲がハマりすぎたため、あと一歩、アルバム曲にキラーチューンが欲しかったところはありますが、それ以上にまとまりがって良いですな。
レトロックバンドとしてのメリーが好きなら、この作品は間違いなくツボでしょう。

＜過去のメリー（MERRY）に関するレビュー＞
群青
Beautiful Freaks
ハーメルン
Midnight Shangrila
モダンギャルド