Lchronicle / Lc5 | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Lchronicle/Lc5
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1. Only you ~キミとのキヅナ~
2. Angel or Devil!?
3. ブレイクスルー
4. starting
5. Loveless
6. refrain
7. STORY
8. Brand new way
9. decision
10. 一秒間の愛し方
11. Dream & You

アンティック-珈琲店-のVo.mikuを擁するLc5の1stフルアルバム。
アンカフェが再始動するということですが、こっちのバンドはどうなるのでしょうか。

シングルを聴いていた分には、地味だなぁという印象が拭えなかったのですが、いざ、アルバムになってみると、安定感に変わっていてびっくり。
シングル4曲が収録されているものの、変に浮いたり、シングル頼みの構成にもなっておらず、収録曲すべてが、アルバムとしての完成度を底上げしている印象。
むしろ、シングル曲よりもシングルっぽいナンバーもあったりして、まとまっています。

全体観としては、ヴィジュアルバブル期にデビューしたソフビバンドのような楽曲のオンパレード。
マイナーコードを多用して疾走するとともに、メロはキャッチーでとっつきやすい。
どこがサビかがはっきりわかる、シンプルな王道感は、ここまで統一されると強みと言って良いのでしょう。
ツインギターの役割分担も、とても90年代的。

また、mikuさんの歌唱力も、思った以上に成長を見せていた。
もっとふにゃふにゃに歌っていたイメージが強かったのですけれど、張り上げたり、落としたり、メリハリをつけるようになりましたね。
お洒落系的な歌い方が抜けなかった結成当初に比べて、音楽性に馴染んだ歌唱法を身に着けてきたといったところかな。

そんな中、ハズシで入れてきている「Brand new way」が効いていますね。
切なげな演奏に、ヒップホップライクな言葉の畳み掛けを見せる近代的なミディアムナンバー。
こんな曲ばかりやっているバンドだったら、光る曲でもないのでしょうが、懐かしさすら漂う王道チューンの隙間に、この手の楽曲が差し込まれることで、アクセントになっている。
淡々と雰囲気を作っていて、地味にツボだったりするのです。

そして、続く「decision」が、シングル顔負けのインパクトがあるキラーチューン。
前の曲でタメを作った分、昂揚感のある展開の気持ち良さが倍増。
この流れは、神がかっている。

一方、「decision」から、「Dream & You」までの流れは、少し盛りすぎたか。
粒ぞろいではあるのだけれど、3曲ともラストっぽい曲なので、「あ、これで締めだな」という心の準備をしていたら、次の曲が始まっていくという、バランスの悪さがある。
どれかはバラードとか、タイプの違うラストっぽさならまだしも、すべて光を感じるアッパーチューンで被っているし、選曲に工夫の余地ありかと。
1曲外して、所謂アルバム曲を挟んでもよかった気がします。

まぁ、総合的には無難にクオリティが高い。
大きくインパクトを残す作品ではありませんが、90年代好きが、現代のバンドを聴こうとする過程でのクッションとしては、非常に優秀な一枚。
もっと、1stアルバムっぽい勢いがあっても面白かったけど、これはこれで、アンカフェとは違う引き出しを見せてくれました。

<過去のLc5に関するレビュー>
Loveless