刹の虐 / Velze Dieulawahl

刹の虐/Velze Dieulawahl

￥1,575

Amazon.co.jp

1. 刹傷
2. 螺旋
3. 虐ナル記憶

Mr.unknownのメンバーが在籍していた広島バンド、ヴェルゼデュラヴァール。
本作は、2001年にリリースされた1stシングルです。

「刹傷」は、オルゴール的なSEから、疾走するバンドサウンドに移行していくメロディアスナンバー。
サビでの王道感がたまらない、2000年前後のダーク系の王道を地で行く音楽性ですね。
イントロは、Dir en greyの「GARDEN」あたりを参考にしているような。
ベタと言われれば、その通りなのですけれど、ちょっとあからさますぎる気はするかな。

続く「螺旋」では、三拍子になったり、激しくなったり、展開に忙しいミディアムチューン。
サビの前に、女声での語りが挿入されているのですが、やや棒読みで自主制作感を煽ります。
表情をつけない、あえての演技なのか、単純に、クオリティの問題なのか。
いろいろ、変化をつけようと工夫しているところは認めたいのですが、うまく落とし込めなかった印象でした。

ラストの「虐ナル記憶」は、ツタツタ激しく迫っていくスピーディーな楽曲。
この手のナンバーで締めるのもお約束でしたな。
低音に響かせるボーカルに癖があるので、そこが好き嫌いを分けそうですが、個性的であったのは事実。

それを活かすには、ど真ん中で行き過ぎたかな、という気はしないでもありませんが、バランスはとれていたのではないでしょうか。

全体的に、既視感が強い。
無難にこなそうとしているのか、影響を受けたバンドのサウンドをオリジナルとして昇華しきれていないのか、あと一押しをどこに置くのかが整理できていなかったのかと。

一方で、だからこそツボだというリスナーもいるはず。
下手な外しを入れてこない分、素直にダークな世界観を楽しむことができるので、期待どおりと捉えることもできるでしょう。
使い古されたフォーマットではありますが、リスクを回避した、まとまりのある作品であるのは確かです。

このバンドは、後に、Vo.KIKYOさんが脱退。
Gt.つかささんがボーカルにコンバートするなどして、活動を続けましたが、間もなく解散してしまいました。
地方バンドということもあり、メンバーが固定できなかったのがネックになってしまいましたかね。
メンバーチェンジ後は地元中心の活動に戻したのですが、この作品の頃は、全国区での活動を視野に入れはじめていただけに、消えてしまったバンド、というイメージになっていたのは残念です。