改体新書 / LuLu | 安眠妨害水族館

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「改体新書」/LuLu
¥2,500
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1. 贖罪の空
2. 贖罪の細胞
3. 人体レシピ
4. 雨ニモ病マズ、風ニモ病マズ。
5. 偽りの嬢剤
6. 最後の景色

"日本黒十字・LuLu総合病院"というテーマを掲げる医療系バンド、LuLu。
3ヶ月連続投与最終薬剤、要するに3ヶ月連続リリースの3作目となるミニアルバムです。

メジャーデビュー直後に、ボーカル以外のメンバーが全員入れ替わった彼ら。
現体制でのセルフカバーアルバム「改体旧書」と対になる位置付けの本作は、久しぶりのオリジナルアルバムということになります。
ちなみに、現在では、またインディーズに戻っての活動になっているようですね。

さて、気になる内容ですけれど、どういうわけか、メジャー感が増した印象。
実際にメジャーで活動していたときですら、アングラなアプローチを貫いていたので、このタイミングで、というのが面白い気がしてしまいます。
もっとも、聴きやすくなったことは悪いことではなく、トライ&エラーの一環とすればあり得る選択肢。
全体的にメロディアス性を押し出しており、フレーズもキャッチー。
基本線はダークな様相をしていても、サビで開けるという手法が、本作では多く見られました。

例えるなら、90年代のダークバンドが、メジャー進出後に、少しポップに振れてきたような雰囲気を持っているでしょうか。
一周して、少しダサいくらいのサウンドが、青春時代を思い出すノスタルジアになってくる層も増えてきているし、案外、しっくりくる人も多そう。
ギターはテロテロと弾くスタイルで、厚みよりインパクト重視。
同期の使用頻度も高くなく、バラードパートや、世界観重視の部分で、ストリングスやピアノが重なる程度に留めており、昨今増えてきているキラキラ感とは一線を画す。
おまけに、歌唱力の粗削りさまで、あの頃のバンドという感触なのです。

メンバーチェンジを経て、ますます時代が遡った感のある彼ら。
懐古主義的なアプローチを突き詰めることが、差異化に繋がるか、といったところ。
兎にも角にも、泣かせようと張り上げるギターの音がツボでした。
もう一花咲かせてほしいと思わせる1枚。

<過去のLuLuに関するレビュー>
日本医療革命