COME ON! / TETSUYA | 安眠妨害水族館

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COME ON!/TETSUYA
¥3,059
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1. LOOKING FOR LIGHT
2. Roulette [Album Ver.]
3. Fantastic Wonders
4. guilty
5. EDEN
6. 魔法の言葉
7. Can’t stop believing [Album Mix] 
8. In My HEART
9. lonely girl [Album Ver.]
10. Are you ready to ride?
11. 流れ星

L'Arc~en~Cielのベーシスト、TETSUYAさんの9年ぶりの2枚目。
TETSUYA名義では、初のアルバムですね。
2011年にリリースされた作品とは思えないジャケットのダサさは、もうデフォルトなのでしょうか。

ラルクのメンバーの凄いところは、誰のソロ作品を聴いても、ラルクの面影を見つけられるところ。
このメロディライン、このリフ、このノイズ・・・
実験的な試みが繰り広げられていたとしても、節々にらしさが溢れている。
ソロでやってる意味がないということではなく、誰の個性が欠けても、もはやL'Arc~en~Cielは成り立たないということでしょう。

裏を返せば、ラルクのサウンドの一部を取り除いて、凝縮したのがソロ作品となるわけで。
その中で、このTETSUYAさんは、ポップさが飛び抜けている。
歌っていて気持ちが良いメロディセンスは、単純に耳に馴染み、万人受けしそうなキャッチーさを持っています。
本家ラルクでは、最近、ここまでポップに突き抜けた楽曲が控えめになってしまったので、そういう意味でも、徹底したポップサウンドを堪能できる本作は貴重。
なんだ、こっそり温めていたんじゃない。

全体を通して、メジャー感のあるナンバーが中心なので、アルバムとしての雰囲気は、カラっとした明るさがあります。
可愛げがあり、優しい歌声も相まって、誰のものでもない、TETSUYA節の王道。
確かにこれは、ソロ作品なのだ。
ラルクの持つダークで妖艶なイメージは、ほとんど見られません。

だけど、1曲1曲を取り出して、hydeさんに歌わせてみたら、きっとラルクになってしまう気もするから不思議。
この手の楽曲は、TETSUYAさんだからこそ似合うという面も理解しつつ、これをフルメンバーで演奏しているのを想像してしまうのは、僕だけではないはず。

「EDEN」なんかは、「True」を出した頃の空気感があって、ハマりましたね。
ソロだからこそのミクスチャーのようなアプローチもあるのですが、その機械的な雰囲気も含めて、疾走感が清々しい。
幻想的なバラード、「流れ星」も、ファルセットを駆使した独特の歌メロにノックアウトされます。
ポップチューンだけでなく、アクセント的な楽曲のクオリティが高いあたりも、さすがモンスターバンドのリーダーです。

ネックだった歌唱力も、心なしか安定した印象。
上手いわけではないけれど、1stのように、曲の良さを殺しているレベルにはなってはいません。
甘ったるいベタベタな歌詞は相変わらずですが、これも味ってことで。
深みのある曲を作ってみる等、もう一歩のインパクトがあれば完璧だったのですけれど、期待と内容の乖離は少ないです。
気になる人は、まず聴いてみて損はないはず。