Fleur / LAREINE | 安眠妨害水族館

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Fleur~フルール~/LAREINE
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1. 憂いの花が綴る愛

2. 白いブーケ

3. Fleur


耽美系の中の耽美系、LAREINEのインディーズ時代の代表作。

冬になったら聴かずにはいられない作品。


KAMIJOさんの描く切ない情景描写と、MAYUさんの王道ながらも印象的なフレーズが、とても美しく、メロディアスな歌モノが大好きな人なら、ハマること間違いなし。

何をどうやったら楽曲が切なくなるのか。

それに特化して一本の映画を作り上げるような、センチメンタリズムの応酬。

胸が締め付けられる、ざわざわと高ぶらされる、悲しみに沈む・・・

徹底してロマンスを歌い上げるKAMIJO節は、一度聴いたら忘れられないメロディの良さがあります。


「憂いの花が綴る愛」は、ヴィドールのジュイが、スローバラードにリアレンジしてカバーしたことでも知られる刹那系の名曲。

キラキラしたシンセと、流れるような歌メロ。

個人的には、疾走感があるオリジナルのバージョンのほうが好きですね。

歌唱力は、圧倒的にジュイさんのほうが上手いのですが(笑)


ミディアムテンポで、悲恋を描く「白いブーケ」は、語りなどの手法も取り入れ、様式美に拍車をかけています。

1曲目が、花が散っていくイメージならば、こちらは花が枯れていくイメージ。

感情に訴えかけるエモーショナルな表現もあるなら、こういう淡々と独白するような表現もあるのですよね。

「Fleur」も、彼らを語るうえでは外せないナンバー。

アコースティックな雰囲気から始まる出だしと、とにかくポップでキャッチーなサビ。

これだけで、インパクトは十分。

もう、策士としか言いようがない、計算しつくされた構成はお見事。


ネックというか、イマイチだった点は、ボーカルの歌い癖も含めて、少し演奏が粗いですね。

完成された様式美にこそ、美しさが際立つ耽美系において、雑な部分が見えてしまうと、それだけで世界観が消え失せてしまう危険性がある。

まぁ、楽曲そのもののパワーでカバーできてはいると思いますが、メジャーに出てから再録してほしかった気もします。

とりあえず、KAMIJOさんの声に抵抗がなければ、聴いておいて損はない一枚。


<過去のLAREINEに関するレビュー>

フィエルテの海と共に消ゆ~THE LAST OF ROMANCE~