(→その1からの続き)
今回の震災により多くの方が職場や仕事を失った。
自立のために不可欠なのは収入なわけで、就職先の確保は復興の根幹となる。
しかし工場や建物、必要な機械が根こそぎさらわれてしまったそれらの会社が短期間で復活することは非常に難しい。
だからと言って職を求めて地元を出て行く人達がどんどん増えれば、地域のコミュニティは空洞化してしまう。
一体どうすればいいのか?

次の避難所で、僕はその解決のヒントになるような場面に遭遇することになる。


陸前高田避難所ライブ。
続いてはサンビレッジ高田。元々は市民のためのスポーツ施設だ。

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施設の隣では仮設住宅の建設が進む。

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ドーム状の施設内には、テニスコートだったと思われる地面の上に整然とテントが立ち並んでいた。
僕的に分類するならば「テント方式避難所」。

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この避難所、なんだかみんなが明るい。活気があるというのかな。
その理由はあとで明らかになるのだが、この避難所では多くの事に驚かされた。

ライブとサイン会。これもやはり他とはちょっと違う。

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明るいといってしまうのはあまりに単純すぎる。「勢いがある」という感じかな。

サイン後、施設内を見せてもらう。
まず他の避難所で見たことがなかった段ボール製の建物(?)を発見。

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そこは勉強部屋(仕事部屋)だった!デスクも段ボール製!

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段ボール製の仕切られた部屋、デスク。
ここで子ども達は宿題をやったり読書をしたりするのだろうか。ここなら集中できそうだなあ。


そしてこれだ。

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「一本松プロジェクト」という活動がある。
陸前高田の海岸線にある「高田松原」には7万本の松が植えられ、その景観で地元の方や観光客の目を楽しませながら、防風林として街を守っていた。
ところが今回の震災で、たった1本の松を残して、全てが津波に流されてしまった。その1本の松を守りながら、もう1度7万本の松林を再生させようという取り組みが「一本松プロジェクト」なのだ。(その後、さらに2本が無事であることが判明した)

その植樹するための費用を集めるための活動の1つとして、この避難所で暮らす方々が中心となってオリジナルグッズの制作と販売を行っている。そう、この避難所がその制作現場なのだ。

「もう、全国から注文が来るんですよ!ほら、発送待ちの荷物がこんなに!」

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うわー!すごいっ!!!
僕は本当に大きな声を出してしまった。

そうか、この避難所で感じていた明るさの元はこれだったのだ。
建物の左右に分かれて整然と立ち並ぶテント。段ボール製の勉強部屋。そうやって個人のプライバシーを守りつつ、施設の真ん中に集会所を作り、そこにみんなが集まってワイワイガヤガヤとバッジやタオルを作って、梱包して出荷する。働く場所と仕事を自分たちで作ってしまったのだ。


聞けば、売上は全て一本松プロジェクトに寄付されるそうだが、僕はこの売上をみなさんの収入にすればいいのではないかと思った。避難所で暮らすみなさんが手作りで作ったもの。買いたいと思う人は日本中に数え切れないぐらいいるだろう。
僕が興奮してそう話すと、ある方が「お金が絡むと、誰の取り分がいくらだとか何とか、面倒なことになっちゃうと思う。それよりも今はこうやってみんなで何かやってるのが楽しい」と答えてくれた。

そうか、面倒なことになっちゃうかもなあ…。
しかしだ、ここに企業が絡むなどして言わば「被災地ブランド」の商品を作り、職を失った人を雇って作りネットで売る。アクセサリーから食器、小物、生活雑貨、家具…。全てを1つのブランド名で統一する。

かつて「WiLL」というプロジェクトがあったのを覚えているだろうか?
花王、トヨタ自動車、アサヒビール、松下電器産業(現パナソニック)、近畿日本ツーリストの異業種5社が「WiLL」と言うブランド名でデザインとコンセプトに統一感をもたせた商品をそれぞれ販売した。
それがヒントにならないか?
何億円も寄付する資金があるなら、そのお金を「被災地ブランド」設立に使うというのはどうか?

あらためて言うまでもなく、「職場の確保」こそが継続的支援の必須条件だ。
働くこと、自分でお金を稼ぐ事、やりがい、生き甲斐。
それらは精神的に人を支え、未来への希望となるのだ。


この避難所のみなさんと話しているうちに僕はこんな話を思い出した。
避難所で生活していて、現在はご自分で住む場所を確保した方が以前、僕にこんな話しをしてくれた。
「子供が『避難所に戻りたい!』って泣くんです。子供にとっては楽しかったようで」

その話しをすると、あるお母さんが「私もその気持ち、わかるような気がします。仮設住宅に早く入りたいけれども、その反面、ここを離れるのは寂しいとも思う」と話してくれた。

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帰り際「坂本さんにはタオルはあげるからバッジは買っていってね。10個ぐらいにしましょうか」とバッジを押し売りされてしまった!(笑)
逞しく、明るい。
「もうちょっとここにいたいなあ」と本心を口に出すと、それじゃあこれ飲んでゆっくりしていって!と支援物資の缶コーヒーが出てきた。「いやーこれは飲めません!」「いいからいいから!」の押し問答の後、結局僕はそれをいただいてしまった。すいません!(>_<)


一本松プロジェクトについてはこちらのページを。
もちろんグッズの注文もできます。

★一本松プロジェクトオフィシャルサイト
http://www.ipponmatsu-pro.com/

★We Love Takata ☆女性の笑顔と高田松原の復興に願いをこめて☆
http://ameblo.jp/ipponmatsu-pro/


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(→その3へ続く)