慢性腎臓病には、糸球体性腎炎と尿細管性腎炎があり、人や犬は糸球体性、猫は尿細管性が多いとされています。
糸球体が障害されボロボロに穴が開いた状態になると、本来漏れるはずのないタンパクなどが尿中に出てくるため、糸球体性腎炎の人や犬は、定期的にUPC検査を行うことで早期に腎機能の異常を発見できます。
UPCはCreで補正された値で、飲水量や尿量の影響を受けないため、試験紙法などによる尿検査と異なり、信頼できます。
これに対し、猫の場合は、尿細管が先に障害され、その影響で糸球体に障害が及ぶことから、尿中に蛋白が出てくるのは末期になってからのため、慢性腎臓病の早期発見にUPCは使えません。
飲水量などの影響を受ける尿比重も、慢性腎臓病の初期症状である多飲多尿によって異常が検出されにくい欠点があります。
血液検査のBUNやCreも腎機能の75%以上が失われてからでないと上がらないし、Creの場合は除脂肪体重と相関するため、犬猫の年齢が上がるほど筋肉量とともに低下することにも注意が必要です。
SDMAは上がったり下がったりするので、UPC、尿比重、血中腎機能マーカー(BUN、Cre、電解質、P、Caなど)と合わせて総合的にみていく必要があります。
成猫(7〜10歳)の1~2割が罹患しているとされる甲状腺機能亢進症は慢性腎臓病をマスクするだけでなく悪化させ、甲状腺機能亢進症の猫を治療した結果、約2割の子が慢性腎臓病だったことが判明したとのデータもあるため、気を付ける必要があります。
また、「心腎連関」といって、心機能が低下すると、心臓から腎臓に送る血液量が少なくなるため、心臓病の子は腎臓病を併発しやすいことも要注意です。
要は、毎年動物病院に行って健康診断して「検査値に異常がなかったから大丈夫」ではなく、伴侶動物の日頃の行動に変化がないかをよく観察することが大切だということです。
多飲多尿がみられるなら、検査結果が「正常」でも腎機能は既に半分以下になっているかもしれないし、クッシング症候群などの内分泌性の病気かもしれません。
甲状腺機能亢進症のように、病気なのに活発になる病気もあるので、見た目元気でも、体重、活動量、食べる量、飲水量、おしっこの量などは定期的にチェックし、病気の早期発見を心がけ、愛する子が苦しむ前にそれ以上進行しないようコントロールしてあげて欲しいと思います。
【追伸:ワクについて】
筆者の大切な家族、オキナインコのワクを滞在先の軽井沢でロストし、4カ月が経ちました。
動物病院の選び方と諸々 ~ペットと飼い主の幸せのために~ (ameblo.jp)
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