国内では、義務である狂犬病ワクチンの他に、ペットに混合ワクチンを接種している飼い主がいます。
混合ワクチンは、針を刺す回数が減らせることと複数の免疫が短時間で得られるなどのメリットがあります。
獣医療における混合ワクチンは、犬用は2~11種、猫用は3~5種があり、含まれる抗原の数によって種類があります。
国内のある調査によると、混合ワクチン接種率が最も高いのは、犬は5種混合ワクチンの20.3%で、猫は3種混合ワクチンの72.8%とされています。
犬と猫で違うワクチン事情。みんなが受けるワクチン、接種費用は?:ペット保険「PS保険」調べ|ペットメディカルサポート株式会社のプレスリリース (prtimes.jp)
コアワクチンは、犬用は、イヌジステンパーウイルス、イヌアデノウイルス、イヌパルボウイルスの3種、猫用は、ネコ伝染性鼻気管炎、ネコカリシウイルス、ネコパルボウイルスの3種で、ペットが置かれている環境に応じて、ワクチンを接種する・しない、接種する場合はその内容を、決めていると思います。
コアワクチンの接種頻度は、特に感染リスクが高い環境になければ3年に1回でよいと、WSAVA(世界小動物獣医師会)のガイドラインには示されています。
WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf
感染症は、1回かかったら終生免疫が得られるものもあれば、毎年かかる感染症もあるため、ワクチンを打つ頻度は、抗原によって違ってきます。
ちなみに、新型コロナワクチンについては、終生免疫が得られる製品を、製薬各社が開発していますが、新型コロナはADEや変異などのリスクがあるので、長期の安全性データがない限り怖いですね。
筆者がよく知る動物病院の院長は、新しい動物用ワクチンが発売されると、最初に、病院で飼っている供血犬猫に打ち、抗体価がちゃんと上がるかをみて、上がらないワクチンは仕入れないようにしています。
「抗体価が上がらないワクチンなんてないでしょう!」と思われるかもしれませんが、実際あるから面白いですよね。
その院長は、新型コロナのワクチンも、接種するたびに、1カ月ごとに抗体価を測り、動きを記録していました。
マニアックではありますが、人に依存せず自分の目で見て考える獣医療を心がけていて、信頼できる獣医師です。
ワクチン接種後の抗体価のレベルや動きは、個体ごとに異なります。
新型コロナワクチンで目の当たりにされた方は多いと思いますが、どんなワクチンでも、どんな健康体でも、副反応を発現するリスクはあるし、打って死亡することもあります。
抗体量が十分あるのに、リスクのあるワクチンを打つことは避けたいところですが、動物の場合、全ての抗体価を測れるわけではないのが悩ましいところです。
抗体価検査にかかる費用は、病院によってまちまちですが、大抵、ワクチン接種費用と同程度です。
色々な考え方があると思いますが、獣医師に勧められるがままに混合ワクチンを接種するのではなく、ペットが感染症にかかるリスクがどの程度あるのかと、ワクチン接種による副反応のリスクを天秤にかけ、可能なら、抗体価も合わせてみた上で、どうするか決めたいものですね。
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