堺市の交通まちづくりを考える会 -159ページ目

速報! 連続学習会の予定

 堺市長選後の連続学習会が途絶えているのではないのかというご心配をかけ、大変申し訳ございませんでした。「堺市の交通全体計画を考える連続学習会」の日程が決まりましたので、謹んで発表いたします。今後、講師の方との細部の調整をし、提言書をまとめ上げる予定です。

 ついては、決定したスケジュールを以下に記します。ご参加頂ける方がひとりでも多くなることを切に願って、準備に勤しみます。ただし●印の討論内容については確定していません。

第5回 2010年2月27日(土)13時~17時 堺市総合福祉会館(堺区)
●阪堺線の存続、活性化
●三宝地区の交通について(バス交通の再編)
●美原区のバス交通について

第6回 2010年3月20日(土)13時~17時 堺市産業振興センター(北区)
●堺市のまちづくりと交通全体計画
●海外と日本の事例を参考にしたまちづくり

以上

銀座か、御堂筋か

 2008年の終わり頃だった、当時の技監と話した。

 「LRTを敷いて、この筋を銀座のようにしたい」と夢を語ってくれた。「あちらで買い物をして、ちょこっとLRTに乗ってこちらでお食事。次はLRTに乗ってあちらでスイーツを楽しむ。水平に動く、街のエレベーターみたいで素敵でしょ?!」

 私はちょっと違う気がしたが、同意した。街が賑やかになることに反対はない。でもそれなら、動く歩道「ムービングウォーク」でもいいのでは?定時性はあるし、待ち時間がない。しかも無料かも知れない。

 今はなくなってしまった御堂筋パレードは、前年から始まった大小路筋での堺まつりパレードがモデルになっていると聞いたことがある。実際はそうでないと思うが、堺っ子の気持ちからか、そう信じたい気もする。

 確かに欧州のような城壁で閉ざされた街では、自動車混雑を解消することで今以上に活性化する可能性がある。市民合意の法律や移動権も整った地域だと、LRTシステムでの街育、活性化も夢ではない。

 しかしながら、LRTを通すだけでは街が活性化しない。LRTシステムはあくまでそのアイテムに過ぎず、必要条件であるが、十分条件にはなり得ない。LRTシステムは基本的民主化の進んだ地域でこそ実現する画期的な街育だ。新自由主義に騙されるような市民力では、到底実現できるはずもない。KOALA代表の森氏がいう、「民度」の問題かも知れない。

 でも、夢を見ることは自由だ。堺東が梅田のように、堺駅がナンバのようになることは、ちょっと想像しただけでワクワクする。

阪堺線の試乗

 浜寺方面へ行くときは利用する阪堺線。先日の土曜日午前中~正午頃、久しぶりに大阪方面にも阪堺線を往復利用してみた。浜寺公園前-天王寺駅前の直通路線で、区間は大小路~天王寺駅前、暖かい冬の晴れ間だった。鉄道マニアではないので、正確な表現や根拠はないが、率直でおもしろい感想を得た。
 乗車の感想は、子供の頃と同じ「楽しい」だ。左右にも前後にも激しく揺れる、楽しい乗り物。特に車との併走区間である住吉大社や帝塚山、阿倍野筋は視覚的にも楽しい。以下詳細の感想を記す。

・堺区間では20名ほどの乗車だったが、大阪・区間は30名以上だった。特に帝塚山の学生が乗車してから天王寺までの区間は50名を超えており、年齢層も様々だった
・ベビーカー乗車や幼児同伴の乗車が見られた
・大阪区間のみの利用が多く、堺区間のみや大阪~堺の2区間を乗り継ぐ乗客は少なかった
・大小路の停留所には目立つ広告などの宣伝がなかったが、神社などの視覚的な位置関係が追記された停留所案内はノスタルジックな看板で掲げられていた
・左右に分かれたレバーを前後させて操作するタイプ?の新しい車両
・阿倍野筋の併用軌道区間は振動も少なく、線路が新しい気がした
・一方、堺区間の大道筋の区間は左右触れや振動が激しく、対向の車両とすれ違う際に、減速した
・住吉大社で天王寺行きと恵美須町行きの分岐において、脱線するのかと思うほど振動と音がした
・大小路から天王寺までの所要時間は35分だが、内、車と共用している信号待ちが都合5分だった
・同一進行方向の自動車の右折と接触する危険性があった

 今年の春に、富山のLRTの試乗に出かけた経験がある。富山のLRTと比較すると、阪堺線は高床ではあるがフラット床で最大乗車人数は多い気がする。車両や線路が古いせいか、振動や揺れ、騒音が大きい。沿線の住宅は明らかに多い。自転車置き場や公衆トイレが無く、停留所が寂れている。ベビーカーや高齢者の利用には不都合が多い。

 また同時刻の南海本線-環状線の利用と比較すると、所要時間約20分で370円であるのに対して、阪堺線は約35分で290円。専用信号導入により約5分の短縮が可能になれば、その差は約10分で80円の安価。天王寺行きに限って言えば、「あり」といえる。なによりも沿線との距離が近く、自転車感覚で沿道の雰囲気が伝わってくる。

 素人感覚ではあるが、総じて、都市部における路面電車、特に新型低床車両とLRTシステムの導入次第では、有効な交通機関であると感じた。「導入次第」というところがミソだ。
 一方、阪堺線の赤字は2億円/年とすると、約2700人/日分の運賃に相当する。これは乗車率を約1.5倍にしないと黒字化できないことを意味する。阪堺線存続のために市民がもっと利用しようと呼びかけても解決できそうにない。しかし富山の試乗をした経験から、堺区間の新たな施策や企業意識によっては、阪堺線の黒字経営も夢ではなさそうに感じた。
 また天王寺-浜寺の直通運転が始まったことにより、なおさら堺区間と大阪区間との一体経営がポイントになると感じた。そこで、以下提案。

提案1.鳳-羽衣間のJR線を廃止し、浜寺公園前から阪堺線の乗り入れに代替すること(事業者主体)
提案2.バス結節の利便性と運賃提携(事業者主体)
提案3.乗車動機の増加を目的に、浜寺公園の文化観光活用とパークアンドライド(行政主体)
提案4.停留所の環境整備と市民参加の呼びかけ(事業者と市民主体)
提案5.まずはお金を掛けずに社会実験のような感覚でやってみて、成果が見込めるなら低床式車両を含めたシステム導入を大阪区間と共に考案する、、、ちょっと無理がある提案かも知れないが、、、(事業者と行政主体)

 提案したものの、残念なことに、ほとんどは市民主体では不可能だ。最後は事業者と行政の地域サービス精神が必要。あとは事業者のプロ意識に委ねられる。そうでなければ、早期にどこか別の鉄道会社に阪堺線全線を買ってもらって健全経営してもらいたいが、専門家によるとこれはかなり困難な状況のようだ。

 以上、イベント「未来へつなぐチンチン電車 」に行けなかったことを悔いての試乗とその感想。

追記1 : 感想 ・浜寺~天王寺の直通運転になったことから、終点の天王寺改札で「どこから乗りましたか?」と職員に尋ねられ、運賃290円を支払った ・天王寺発で大小路下車の際には何も尋ねられることなく運賃290円を支払った 右矢印 浜寺-天王寺の直通運転の以前は、乗り継ぎ券を発行してもらって我孫子道で乗り継いだ。だから区間をごまかして運賃の一部(90円)を支払わないなどということは不可能だった。今、乗り継ぎ券を発行せずに、ある意味、区間信用乗車にて運賃の支払いをお客に任せることになる。直通による乗客増加で運賃収入増加するのか、不便でも取りっぱぐれないほうが運賃確保しやすいのか、その結果を知りたいと思う。

追記2 : これらの意見や提案は、決して鉄道事業が黒字であるべきという考えではない。世界的に見ても黒字経営できているのは、これまでの日本固有の経済状況時期であったことと、都市構造と住宅環境を含めた通勤環境であることを理解している。LRTシステムの大規模社会実験として阪堺線の改革を試すことは、日本のコンパクトシティー化や、中小企業の下支えや街育の観点からも決してムダにはならない事業だと思う。