前回からの続きです。




斎藤姓のとても多く住む

栃木県塩谷郡塩谷町


(あざ)『船生(ふにゅう)について

(船生に斎藤姓およそ1000)


長く書いてきましたもぐもぐ




今回で、船生について

終わりにしたいと思います。


塩谷町船生、とても好きになりましたデレデレ



 この船生郷の総鎮守は

・『岩戸別神社(いわとわけじんじゃ)

(塩谷郡塩谷町大字船生8171)


祭神


『天手力雄命(あめのたぢからお)です。



この天手力雄命について、書き残したことや

今まで船生をテーマに書いたことを総括して

終わりたいと思います。

(『塩谷町船生』まとめです。今までお読み頂いた方は

繰り返し情報が多いので、ご容赦下さい滝汗

いつもお読み頂き、ありがとうございます❗)



 

さて


船生郷総鎮守

岩戸別神社の祭神・天手力雄命は


『天の岩戸(あめのいわと・あまのいわと)


神話において



アマテラスを岩戸からお出しし

世界に光を取り戻す、ある意味最高の殊勲神で


この神話は『鉱山開発』の比喩


と、書きました。




天手力雄命は

ニニギノミコトの天孫降臨にも付き従い


『古事記』では

「手力男神者、坐佐那々県也」


「佐那の地に鎮座する」と記され



この地には、天手力雄命を主祭神とする

『佐那神社』があります。




『佐那神社(さなじんじゃ)

(三重県多気郡多気町仁田156番地)



主祭神 天手力男命

    曙立王命(あけたつのおおきみのみこと)


古事記の記述に従うなら

この佐那神社が

天手力雄命を祀る神社の本社

言えるのかもしれません。


天手力雄命は、もともと

三重の地方神とする説もあります




この佐那神社は

伊勢神宮の式年遷宮と同時に

造替に預かる神社で


神宮の古材の払い下げを受け

その材を用いて社殿が造り替えられる


伊勢神宮と非常に関係の深い神社です。



 伊勢神宮内宮の

『皇大神宮(こうたいじんぐう)

  においても



アマテラスの相殿神として

天手力雄命が祀られ


 天手力雄命もまた、アマテラスとの関係性がとても深いのが特徴です。



佐那神社の『佐那(さな)』

(くろがね)を意味し

(「埼玉苗字辞典」茂木和平)





真田項より

『真田(サナダ)』 

佐奈は鉄(くろがね)、田は郡県、村の意味。

鍛冶集団の集落を称す。

 



天の岩戸神話は

鉱山開発の比喩の側面があり



 上述した伊勢神宮での祀られ方や

神話の記述から(天孫降臨に付き従うなど)

ヤマト王権がいかに鉱山開発

天手力雄命を重視したかが、わかります。





また「船生」の地名の由来として


あざやかな朱色を生み出す染料

貴重な水銀朱、朱砂(しゅさ)の古名


『丹()に由来します。



この地区は、附近に百目鬼という地名を持つほどの鉱産地帯で、日本鉱業会社の栃木坑(旧の天頂鉱山)や日光坑があり、金、銀、銅を産出する。(「古代の朱」松田壽男)



この鉱産地帯・船生郷に

総鎮守・岩戸別神社

『天手力雄命』が祀られ


そこに

斎藤姓が異常に密集していることは

無関係ではないと思います。



 また天手力雄命は


・その神名の『手力(てぢから)』


『天の岩戸を押し開く』という

  神話の記述からも


力の象徴『岩砕く豪腕の神』であり





『天手力雄命』

「天岩戸神社」西本宮 画像「wikipedia」より



星にも関係すると思います。

『星』が『岩』に関係するからです。

(これは次回以降も、詳しく書きます)


 『黒曜石』をみると

そのことが、よくわかります。

黒曜石をみてみましょう。





『黒曜石』

伊豆諸島『神津島』の黒曜石

岩盤に見える、黒い部分が黒曜石。
神津島産の黒曜石は、硬度が高く最高品質とされます。
世界最速の海流『黒潮(くろしお)』をこえて
本土に運ばれています。
本州の遺跡で、神津島産の黒曜石が発見されています。




そもそも黒曜石とは、どのような石でしょう?



黒曜石とは、火山性の天然ガラスで

鹿の角のようなもので加工していくと

鋭利な刃物になり

矢じり、槍の穂先に利用されていました。





船生の近くに、黒曜石の産地

『高原山(たかはらやま)があり



高原山は栃木県北部にあり、南側の釈迦ヶ岳火山群と北側の塩原火山群の総称である。(「wikipedia」より)





山中に採掘坑遺跡ー


「高原山黒曜石原産地遺跡群」があります。

(たかはらやまこくようせきげんさんちいせきぐん)



遺跡は、無名のピークの斜面にあり

この遺跡の石器の出土状況から

三万五千年前の後期旧石器時代から

黒曜石が採掘されており

日本最古のものと推定されている。




氷期の寒冷な時期に


・人が近付き難い標高1,500m近い高地で

 採掘されたこと

・従来の石器時代の概念を覆すような交易範囲の広さ

・遺跡発掘により効率的な作業を行っていたこと


等が分かっている。

またこの新しい発見により日本人の起源

人類の進化をたどる手掛かりになると言う

研究者の発言も報道もされている。(「wikipedia」より)



 


船生の北にある高原山は


このように、きわめてどころか

桁違いに古い黒曜石採掘坑跡です。


命の危険を犯してまで採掘する

それだけのすさまじい利用価値が

黒曜石には、あったのです。



黒曜石は

縄文人が日々の生活の中で利用し

驚くべきことに、流通までさせていました。

古代の人々にとって

非常に大切な鉱石だったのです。



この黒曜石については

長野県の『諏訪』にも産地があり

ふれました。




そして、ここからがポイントですが


この地で黒曜石は



『星糞(ほしくそ)と呼ばれ




『天から落ちてきたものと

      認識されていました。』

(下諏訪町教育委員会

      宮坂清氏の「ブラタモリ」での発言から)




黒曜石鉱山跡に『星』のつく地名が多くあり



古代の人々は

黒曜石と星が関係すると考えており



黒曜石がかつて




「天隕石」

「天降石」

「星石」




などと書かれたことは

その事実を裏付けます。



ちなみに



黒曜石の産地周辺

長野県と山梨県の一部の自治体が申請していた



『星降る中部高地の縄文世界』

日本遺産に認定されました。





『星降る中部高地の縄文世界』

~数千年を遡る黒曜石鉱山と縄文人に出会う旅~





長野県と山梨県にまたがる

八ヶ岳の北麓には

本州最大の黒曜石原産地遺跡があります。


中部高地で黒曜石が出土する遺跡は

星糞峠、星ヶ塔、星ヶ台など

星の名がつく高原地帯で発見されています。


足元でキラキラ光る黒曜石のかけらを

地元の人たちが


空から降ってきた星のかけらと信じたことからこうした地名が生まれたと伝えられています。


『星降る中部高地の縄文世界』

『ホームページ』より




そこから日本では、影の薄い

『星神』についても、書きました。


現在、茨城県日立市の

『大甕神社(おおみかじんじゃ)』の境内

「宿魂石(しゅくこんせき)」に祀られる


星神『カガセオ』です。

『日本書紀』では

討伐される神として、記載されます。


 

日本は星の神話が極端に少ないと

言われますが…滝汗


全国に存在する隕石降臨の伝承からも


古代、『星への信仰』は存在したのだと

思います。




星への信仰は


必然的に落下した

『隕石』への信仰となります。


『星』が『岩』に関係する

と書く由縁です。



例えば

能登国(現在の石川県)二宮に

伊須流岐比古神社(いするぎひこじんじゃ)

があります。



 

『伊須流岐比古神社』

 (いするぎひこじんじゃ)

(石川県鹿島郡中能登町石動山子部1番地1)



祭神 伊須流岐比古神(いするぎひこのかみ)

相殿神 白山比咩神(しらやまひめのかみ)


主神の伊須流岐比古神は

「肯構泉達録」などに登場する日本神話の神で

また五社権現と称される石動権現ともされる。


「いするぎ」の名は、はるか昔

石動山に空から流星が落ちて石となり

この地に留まったという伝説に由来する。

その石は鳴動し神威を顕したのだという。

伊須流岐比古神社は石の鳴動を鎮め

その石を神として祭るべく

創建されたと伝わる。


石動山『せきどうさん』は、古くは

「いするぎやま」「ゆするぎやま」と呼ばれ

「花崗岩」と「片麻岩」を主とするが

石灰岩もあり、セメント、生石灰の原料に利用され

現在も山麓の一部で採石される。





古代の人々は

ときに、天から轟音を響かせながら飛来する


隕石、流星、火球を


『黒曜石(『星石』とも書く)』と同じように


『天から降ってきたもの』


『星神の神威の具体的な現れ(顕現)』

考えたのではないでしょうか。



現代でも隕石、流星、火球の

目撃情報はめずらしくなく



隕石はときに大地に激突して、爆発をおこし


火球は、文字通り「火の玉」となって飛翔し

夜空を明るく照らします。




『中国の天狗』



もともと『天狗』という語は中国において

凶事を知らせる流星を意味するものだった。

大気圏を突入し、地表近くまで落下した火球は

-3-4等級以上の非常に明るい流星)

しばしば、空中で爆発し大音響を発する。

この天体現象を咆哮を上げて

天を駆け降りる犬の姿に見立てている。




『火球の音』については

火球は経路に沿って衝撃波を形成し

火球が大きなとき、それはしばしば

大きな衝撃を伴う音(ソニックブーム)として

地表にまで到達する。



特に大きなときには窓ガラスが割れるなどの

被害をもたらし

2013年のロシア・チェリャビンスク州の隕石落下では

その範囲が180×80キロメートルに及んだ。

(wikipedia)




 

このような現象を目の当たりにして


その後、古代の人々が山野に分け入り

岩山や奇岩を見て、隕石・火球と

結びつけて考えても

何ら不思議ではないでしょう。





『神倉神社(かみくらじんじゃ)』
 (和歌山県新宮市神倉1-13-8)

 (巨大な『ゴトビキ石』)



神倉神社の『御燈祭(おとうまつり)』


松明を持った男たちが急階段を駆け下る、勇壮な火祭り。

この炎の川は、『火球』に見立てられるのでは

ないでしょうか。




化学を知る私たちにとって、隕石は

宇宙から飛来した単なる物体ですが


古代の人々は

神が降臨したと信じたのでしょう。



じっさいに、隕石伝承は全国に存在し

そこに『磐座』が祀られているケースが

たくさんあります。





『小松神社(こまつじんじゃ)』
 (星田妙見宮) (大阪府交野市星田9-60-1)

『天之御中主大神を主祭神とし

 高皇産霊大神・神皇産霊大神を祀る。』



拝殿の背後、尾根突端の位置にある『星石』
(別名 『織女石』『妙見石』)

「いこまかんなびの杜」
原田脩氏運営サイトより引用させて
頂いてます。
 




『星』と『岩』は関係するのです。



続きます。